天童中部小学校は決して特別な学校ではありませんし、特別な取り組みをしてきたという意識もありません。ただ、育成を目指す子どもの姿を教職員で何度も話し合い、子どもはもともと有能な学び手であることを折に触れて確認し続けてきました。
前回も述べた通り、「個別最適」な学びでも従来型の授業でも(そもそも、この2つを分けることに違和感がありますが、ここでは便宜上)、準備する内容は同じです。
本連載でこれまで述べてきたような実践は、表面上は「新しい学び」に見えるかもしれませんが、授業にとって大切なものが変わるわけではありません。こうした学びによって子どもたちの学ぶ力が伸びれば伸びるほど、教師の役割はより基本的なものに戻っていきます。新たなことに取り組むというよりは、これまで行ってきたことの質を高めることを意識した実践と言えます。
「子どもがする授業」では直接指導する機会が少なくなる分、教師は子どもたちの学びの姿をじっくりと見取ることができます。普段の授業では子どもたちの姿を見取りながら、授業の流れをどう修正するか、どんな発問をすればよいかを同時に考える必要があります。子どもの発言を聞きながら、「思考が深まるにはどこにどう板書しようか」などと瞬間的に判断しなければなりません。
「子どもがする授業」と普段の授業(「仲間と教師で創る授業」と呼ぶ)の時数上の割合は、およそ2対8でした。この2つは別々のものではなく、互いに深く関わっています。おのおのの充実が子どもの学ぶ力について相乗効果を高めるのです。「子どもがする授業」を実践したことで、普段の授業がどう変わったのかを明らかにするため、教員に自由記述のアンケートを取って話し合ってもらうなどしました。
「子どもがする授業」として、3番目に取り組んだのがFSP(フリースタイルプロジェクト)です。一般的には「個人総合」「個人探究」と呼ばれています。教職員の研修の後、6年生の子どもたちに本学習活動の説明をし、取り組んでみたいかどうかを話し合ってもらいました。肯定的な声が多かったので、「MP学習」と同様にネーミングを依頼しました。
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