【もっと自由に、もっと深く学ぶために(6)】一斉授業との関係

【もっと自由に、もっと深く学ぶために(6)】一斉授業との関係
【協賛企画】
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 「子どもがする授業」と普段の授業(「仲間と教師で創る授業」と呼ぶ)の時数上の割合は、およそ2対8でした。この2つは別々のものではなく、互いに深く関わっています。おのおのの充実が子どもの学ぶ力について相乗効果を高めるのです。「子どもがする授業」を実践したことで、普段の授業がどう変わったのかを明らかにするため、教員に自由記述のアンケートを取って話し合ってもらうなどしました。その内容について、子どもに関することと教師に関することの2つに分けて紹介します。

子どもたちと教師が協働で授業を展開していく

 まず、子どもについて。「学習内容に見通しをもち、計画を工夫しながら学習に取り組むようになっている」「未習の内容にも、粘り強く果敢にチャレンジしている」「目当てをもって一人で進めたり、仲間や教師に自ら動いて関わり合ったり、子どもの学習への取り組みが変わってきた」などと捉えていました。見通しを持って計画的に学ぶことに手応えを感じた子どもは、自分一人でも学べることへの自信を深め、意欲を高めます。また、一人学びが充実したことで仲間や教師と関わりを持ちたいと思った子どもは、自分の思いを表現することはもちろん、仲間の考えを聞くことで学びを深めようとする意識も強くなります。こうして子どもが変わったことで、「以前より授業をすることが楽しくなった」と感じた教師もいました。

授業における教師の大きな仕事の一つに構造的な板書がある
授業における教師の大きな仕事の一つに構造的な板書がある

 次に、教師について。「子どもたちだけである程度の授業ができるのだから、教師の授業レベルをもっと上げなければならないと本気で考えるようになった」「以前よりも学習指導要領をよく読み、教材研究に励むようになった」などの声がありました。従来は、教師が子どもに教えるという意識が強くありました。そんな中、「子どもがする授業」を取り入れたことにより、子どもたちと一緒に学びを創っていく、子どもの学ぶ力を信頼して一人一人の学びの違いを柔軟に受け入れながら支える、という意識に変わってきました。

 「子どもがする授業」には、普段の教科の学びが顕著に表れています。そのため、教科の学び方を一層研修していく必要があるとの話が教員の間で交わされました。子どもは、教師や仲間と共に学ぶからこそたどり着ける深い学びがあるのです。その実現には第3回に記した通り、課題の質を上げること、学びの可視化を図り思考の深まりを推進するために板書を構造化すること、学んだ成果を「使えるもの」にするための明示的な指導をすることなどが求められます。このように、子どもが教科の本質に触れて学ぶことができるような支援が教師には求められます。

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