【「頼るスキル」の磨き方(6)】「心理的安全性」が受援力を高める

【「頼るスキル」の磨き方(6)】「心理的安全性」が受援力を高める
【協賛企画】
広 告

 皆さんは、「心理的安全性」という言葉をお聞きになったことがあるかもしれません。Google社が2015年にチームの生産性を高める重要な要素として発表して以来、多くの企業や組織で注目を集めている考え方で、「一人一人がチームの中で自分らしく働いている状態」「安心して何でも言い合えると感じる状態」のことを指します。

 私たちが自分の弱みをさらけ出してSOSを出すためには「何を言っても非難されない、駄目出しされない」「勇気を出してリスクを取っても、嘲笑されたり悪口を言われたりしない」と思える、この「心理的安全性」の担保が非常に重要になってきます。

 「心理的安全性」は、決して「組織が整備すべきもの」ではありません。皆さん一人一人が周囲と共に築いていけるものです。

 人は誰かに助けを求めようとするとき、「心理的安全性」が担保されていない状態での対話は表面的で、実りを生みません。つまり、受援力を発揮するためには、自分が「心理的安全性」を感じられる人をたくさん見つけておくことが鍵になります。

 特別な人である必要はなく、近所で立ち話ができるような人でも構いません。日頃からさまざまな人と会話を交わし、その人となりを知り、「知人」レベルの人を一人でも多くつくることが、私たちのソーシャルキャピタル(人間関係という資産・資本)の基盤となるのです。悩みなどを誰かに相談することは恥ずかしくないと考えている人が多い地域では、自殺が少ないことも研究から明らかにされています。

 心理的安全性を築くためにできる具体的行動には、笑顔やあいさつなどスタンダードな方法以外にも、次のようなものがあります。

・「それ、いいですね!」「面白いですね!」と肯定するような一言を添えたり、拍手をしたりする

・自分にはよく理解できないことがあったときでも「もっと教えてください!」と伝える

 先輩やマネージャーの立場にある人は、周りの人に心理的安全性を築いてもらうためにも、自分の弱みや苦手なことを含め自己開示をして自分の人となりを伝え、フラットな関係をつくることを意識することが大切です。後輩やチームメンバーの人が好きなことや好きな食べ物、得意なことに関心を持つようにして、その話を遮らずに最後まで聞く。そうした時間を少しでも取るようにすれば、仕事上の上下関係を超えた人間味のある関係が築けます。

 加えて、自分から日頃の悩みや過去の失敗談を話すようにすると、下の立場の人たちも「失敗を報告してもいいんだ」と安心して相談できるようになります。

広 告
広 告