【教員の「こころ」を守る(3)】沖縄からスタートした「教職員のメンタルヘルスプロジェクト」

【教員の「こころ」を守る(3)】沖縄からスタートした「教職員のメンタルヘルスプロジェクト」
【協賛企画】
広 告

 メンタルヘルステクノロジーズの刀禰です。第3回目は、「沖縄県からスタートした教職員のメンタルヘルスプロジェクト」についてお話させていただきます。引き続き、この連載で言うメンタルヘルスによる心の病は、「適応障害や軽度の鬱(うつ)」と定義して話を進めたいと思います。

 沖縄県と聞くと、皆さんはどのようなイメージを持たれるでしょうか。南国の過ごしやすいのどかなイメージや「日本のハワイ」のようなイメージを持たれる方もいるかもしれません。

 そんな沖縄県ですが、精神疾患で休職する教職員の率(休職率)が、なんと15年連続で国内最高となっています。病気休職者および1カ月以上の病気休暇取得者のうち精神疾患者は277人、全体の1.79%に上ります。全国平均が1.19%、日本の他業界平均が0.8~1%程度ですので、他業界より2倍も多いことになります。のどかなイメージとはほど遠く、多くの教職員が大変な状態にあることが文科省の調査の結果から分かります。

 私は都内にいる教職員の友人から、現在の教職員が置かれている難しさをヒアリングすることがありました。また、当社のサービスに私立小中学校のお客さまもいたので、全般的に厳しい状況があることは知っていましたが、調査結果を知って驚愕しました。東京都の教職員の休職率が1.63%ですので、いかに難しい環境にあるのかが分かります。

 私はシンプルに、沖縄県を何とかしなければならないと思いました。この問題を解決する重要性が一番高い地域ということもありますが、個人的な思い入れもあったからです。

 実は私の妻が沖縄県出身で、多くの親族が沖縄県に住んでいます。未成年の親族もたくさんいます。今いる子どものためにも、「学校の先生が心の安心安全を得て、子どもと前向きに向き合える環境をつくらないといけない」と心の底から思いました。

 そのために、文科省、国会議員、県議会委員、沖縄県の副知事、教育委員会や現場の教職員にも呼び掛け、2022年8月に東京大学名誉教授であり中教審副会長として「学校の働き方改革」の答申をまとめた小川正人氏、琉球大学教授の西本裕輝氏、NPO法人「共育の杜」などと共同で、全国の教職員のメンタルヘルスを守ることでより良い教育環境を提供することを目指すコンソーシアム「教職員のメンタルヘルスプロジェクト」を沖縄県から発足しました。そして、同年11月に当社のお客さまであるヤフー株式会社のグッドコンディション推進室長の市川久浩氏や同社の産業医の三宅琢先生と共に、教職員が置かれている現状を伝え、先端を行く企業でどのようなメンタルヘルス対策が行われているのかを知ってもらうシンポジウム「学校にもウェルビーイングな風を」を開催したのです。

 この一連の動きにより、国も本腰を入れるべくいろいろと耳を傾け、予算の投下を意思決定してくれたのです。

広 告
広 告