【教員の「こころ」を守る(8)】生き生きと働くための環境づくり―「3つの不」とは―

【教員の「こころ」を守る(8)】生き生きと働くための環境づくり―「3つの不」とは―
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 メンタルヘルステクノロジーズの刀禰です。今回は「生き生きと働くための環境づくり」についてお話させていただきます。引き続き、このコラムで言うメンタルヘルスによる心の病は、「適応障害や軽度のうつ」と定義して話を進められればと思います。

 当社は、産業保健の立場からメンタルヘルス対策を行っています。具体的には休職率の改善がミッションになります。その場合、原則は「①再休職を減らす」というアプローチと、「②メンタルで病む人を減らす」という2つのアプローチを行います。

 「①再休職を減らす」では、機能する復職プログラムの整備を行います。形式的な復職プログラムでは「①再休職を減らす」は実現しないため、法人の考える方向性と一致させないといけません。たまに形式的な復職プログラムを運用しているケースも見られますが、機能しているかいないかは再休職率を見れば分かります。「再休職率が高い」という事実は、中途半端な状況で復職している証拠だからです。

 「②メンタルで病む人を減らす」では、「セルフケア」の浸透と「相談環境の整備」を行います。ここでは人事や現場から信頼され、コミュニケーションスキルが高い産業医、産業保健師などのアサインと、産業保健スタッフからの「セルフケア」の研修を行います。メンタルは外部からは分かりづらい上に、本人にも自覚症状がないケースが少なくないため、メンタルの支障は自身で気付き、ケアすることが基本です。それを「セルフケア」と言います。

 基本的に、この2つのアプローチによって、平均的な休職率に回帰していきます。好き好んで「メンタルを病む」人はいません。

 しかし、それでも職場環境が原因で「メンタルが病んでしまう」ケースは少なくありません。職場では「あの人と関わるとストレスだ」と思ったこともあるでしょうし、自覚がないだけで「思われた」こともあるでしょう。

 そんな中、チームを預かる管理職はさまざまな工夫でチームを機能させることが求められます。その際に覚えておいて損がない考え方は「3つの不」に対処するということです。

 「3つの不」とは、職場に対する「不信、不満、不安」です。この「3つの不」がない状態であれば、少なくとも「心理的安全性が低くない状態」と言えます。当社では定期的にリーダー層にチームの「3つの不」をピックアップして、その対策を考えています。当事者のみでは「3つの不」を客観的に把握することは難しいので、複数人の目で確認して、その対策を順次展開していきます。

 「3つの不」を考えていくと、中には「甘え」や「スキル不足」、「その人自身の問題(例えば他責思考であること)」など、チームでは解決しきれないことも発生します。そのような場合は本人に修正を促すことを上司ではなく、斜めの関係にある人からコーチングする形で是正していきます。人は直接関係がある人から本当のことを指摘されると、なかなか受け入れられないので、そのように対応しているのです。

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