メンタルヘルステクノロジーズの刀禰です。今回は「教職員のメンタルヘルスプロジェクトの今後」についてお話させていただきます。引き続き、このコラムで言うメンタルヘルスによる心の病は、「適応障害や軽度のうつ」と定義して話を進めたいと思います。
2022年、文科省が財務省と折衝し、5つの教育委員会で教職員のメンタルヘルス対策の実験を行うことに予算が付きました。当社は教育委員会から指名されれば当然、教職員のメンタルヘルス対策を支援していきたいと考えています。妻の故郷である沖縄県はもちろん、休職率の高い地域からご指名をいただければ全力でサポートしていく所存です(なお、このコラムを執筆している23年2月現在、当社が関与するという決定事項は何もありません)。
それでは実際に何をやればよいかというと、まずは現状分析です。労働安全衛生の観点から、何がやれていて何がやれていないのかを整理します。また、現場へのヒアリングは必ず実施すべき事項です。メンタルヘルス対策は9割が標準化できますが、1割は個別対策、地域別の対策が必要なケースもあるからです。
約2年間、教育委員会や学校現場、学校の先生へのヒアリングを実施してきた私は、おおむねやらなければならないことのイメージがついています。しかし、効果を実際に出していくためには、教育委員会に本気になっていただくことが最も重要です。その上で実行していく施策は、①教職員が安心できる相談環境をつくること②自己犠牲に陥らずセルフコンディショニングの習慣を取り入れていただくこと③教職員個々人がサードプレイスを持ち、教職以外でも活躍することの重要性を理解していただく――ことの3点だと考えています。
そのためには、一般企業の36協定と同様の水準で時間管理を行うこと、そのために仕事の効率化を行うこと、どうしても難しい仕事がある場合にはITやアウトソーシングを活用することで、教職員一人あたりの「業務量を減らすこと」です。また、特別支援学級に該当しないグレーゾーンの子どもたちのフォローや貧困層のフォロー、その後ろにいる保護者の方々との折衝を全て、一人の教職員任せにするのではなく、専門医などが教職員をバックアップできる体制を整えることなども念頭に置いています。
これらが実現すれば、教職員の仕事の量、仕事の質、職場の人間関係(コミュニケーション)を整えることができ、メンタルヘルスで病む教職員を減らせると確信しています。なぜなら、教職員になるような方々は、本来真面目で能力も高く、何より子どもが好きだから教職員という仕事を選び、競争を勝ち抜いてきた優秀層だからです。教職員の方々が誇りを持って、子どもと向き合える環境づくりをしていきたいと考えています。