第2~4回にかけて、認定NPO法人Learning for All(以下、LFA)の実践事例を紹介する。今回は、LFAの活動概要を2つの軸に沿って整理したい。
LFAは、「子どもの貧困」という問題を解決するために、関東・関西において、困難を抱える子どもたちに早期から切れ目ない包括的な支援を提供するために活動している。具体的には「地域協働型子ども包括支援」という支援モデル(図参照)を提唱し、大きく2つの活動を軸に地域での支援活動を展開している。
1つ目は、「子どものニーズに合った包括的な支援の提供」である。貧困世帯の子どもたちは経済的困窮をはじめ、児童虐待、不登校など複合的な困難を抱えている。中学3年生で受験のために塾に行きたくても経済困窮によって学習機会が限られる子どももいれば、家庭のネグレクトによりご飯が食べられない小学生もいる。子どもの年齢や置かれている環境によってニーズはさまざまあり、必要とされる支援も多様である。そのため、LFAでは「学習支援」「居場所づくり」「食事支援」「訪問支援」「保護者支援」など多様な支援メニューを用意し、地域の子どもの個別ニーズに合った包括的な支援を提供している。「学習支援」は週1~2回、学校や公民館に拠点を設け、子ども一人一人に個別カリキュラムを用意し、事前に研修を受けた大学生のボランティアが指導に当たる。「居場所づくり」は、おおむね小学生と中高生に分けて拠点をつくり、週3~5回、14時~20時まで開室している。居場所では子どもたちがそれぞれ好きなように過ごすことができ、希望すれば夕食も食べられ、歯磨きなど基本的な生活習慣も身に付け直すことができる。「食事支援」は、居場所拠点の中での食事提供のみならず、子ども食堂やフードパントリーなども定期的に開催している。さらに自宅への「訪問支援」や、面談やLINEを通じた「保護者支援」も行っており、こうした支援を地域の実情に合わせて展開している。
2つ目は、「地域の子ども支援に関わる大人たちのネットワークづくり」である。困難を抱える子ども・保護者ほど、行政やNPOの支援につながりにくい。そのため、教師や行政職員、地域の人たちなど、子どもに関わる大人たち同士がつながり、子どものSOSやニーズを取りこぼさないように連携することが必要である。しかし、依然として教育と福祉の縦割りがあり、公民の多機関連携に課題がある地域も多い。そうした課題を解決するために、民間の立場から行政・学校・地域とのネットワークづくりに努め、個人情報保護には最大限留意しながら、子どものニーズに合わせてそれぞれの機関がリファー(紹介)や連携をできるようなネットワークづくりを行っている。