【 今求められる子どもの「居場所」とは(4)】学校の中につくる居場所

【 今求められる子どもの「居場所」とは(4)】学校の中につくる居場所
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 今回は「学校の中につくる居場所」というテーマで、LFAが行う学校内の居場所についての事例を紹介したい。不登校の子どもが全国で24万人を超える昨今、こうした学校内の居場所づくりには注目が集まっている。

 LFAでは地域の中のみならず、学校の中にも子どもたちの居場所をつくっている。具体的には、通常授業が行われている平日に週2回程度、10時~13時半まで空き教室などを活用した居場所を開室している。開室する曜日や時間などは学校との協議の上、柔軟に変更できる。

 このような学校内の居場所が求められる背景には、不登校や発達障害など、公教育の一斉指導では賄いきれない子どもたちのニーズの多様化がある。例えば、ある子は学習の遅れが大きく通常授業が理解できず、個別の学習支援を目的に利用している。またある子は、さまざまな理由で不登校になっていたが、学校復帰の一歩として適応指導教室(※)と併用する形で学校内の居場所を利用している。

 このように子どもたち一人一人に違う目的がある中で、LFAでは学校内の居場所においても、子どもたちにとって安心安全な空間づくりを重視している。子どもとできるだけ個別に向き合うために、十分な数のスタッフやボランティアの大学生を配置。他にも勉強などをして静かに過ごしたい子どもと、遊びなどでアクティブに過ごしたい子どもの空間を分けるなどして、個別のニーズに応じた環境構成を意識している。また、この空間では単に授業復帰を目指すことを目的とせず、子どもの声に寄り添い、子どものペースに合った活動を重視している。

 さらには学校とも緊密に連携し、その子にとって最適な関わり方は何かを一緒に考えるようにしている。前述した通り授業復帰だけを目的としてはいないが、ある学校では結果的に居場所の利用者のうち半数程度が授業に復帰した事例もある。大人側の少しの工夫で、子どもは本来持つ力を発揮し始めるのだ。

 不登校や何かしらの事情でクラスに入れない子どもは近年増えてきているが、「怠学」と切り捨てることなく、子どもの声を聴き、大人や社会の側が変わっていく必要があるのではないだろうか。学校になじめない子どもも多い中で、学校の中にさまざまな子どものありようを受け止める居場所があることは、子どもの権利擁護の観点からも重要である。それと同時に、学校やクラスや授業それ自体が、よりインクルーシブな在り方に変容できるのかを問うことも忘れてはならない。

※適応指導教室:教育委員会が在籍校以外の施設に設置する教室。不登校の子どもの集団生活への適応、情緒の安定、基礎学力の補充、基本的生活習慣の改善などのための相談・適応指導(学習指導を含む)を行うことにより、学校復帰を支援する役割がある。(LITALICO HPより)

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