最終回となる今回は「LFAの居場所における挑戦」というテーマで、LFAの居場所づくりにおける次のチャレンジを紹介したい。
まず最初に、「子どもの意見聴取と行政・地域へのフィードバック」である。こども基本法の施行によって、子ども施策に対する子どもなどの意見反映が、国や地方公共団体の責務となった。LFAでは特に経済的困窮や不登校など困難を抱える子どもの支援を行っているため、さまざまな不利や困難がある子どもの現状について実際の子どもの声を聴き、行政や地域にその声を届け、各施策に意見を反映させていくための橋渡しを行っていきたい。困難な状況にある子ども一人一人の声を丁寧に聴き、さまざまな大人に意見を伝えていくことが、全ての子どもにとって包摂的な社会形成につながると確信している。
次に、「児童虐待の防止・対策の強化」である。昨今、児童虐待の相談対応件数が過去最多を更新し、子どもの安心安全が脅かされている。児童福祉法の改正で、各自治体におけるハイリスクな子どもへの支援の役割を含む、「子どもの居場所」が児童育成支援拠点事業として新設されることになった。この居場所は、市町村と学校や児童相談所などの関係機関と、居場所の運営事業者が緊密に連携し、子どもの安心安全を守りながら、生活や学習のサポートをすることが狙いである。これまで、LFAではこのような居場所づくりを自主事業として寄付や助成金を集めて地域で展開してきたが、次年度より本格的に法定事業化されることで、全国に広がっていくことが期待できる。こうした事業を活用しつつ、公民連携の下、地域における児童虐待への対応強化を図りたい。
最後に、「地域住民や企業との連携の強化」である。第7回でもお伝えした通り、LFAでは子どもの居場所を運営する際に、地域住民や企業にもサポートをしてもらい、食支援や子どもの体験活動などを行っている。そのような活動を通して、地域の方々が困難を抱える子どもに出会い、支え、支え合う「共助」を地域の中で拡大している。こうした活動を継続することで、子どもの居場所が地域の寄り合いの場所になり、それが地域の活力を生む場所へとつながり、結果的に子どもの居場所が世代を超えて全ての人を包摂する場所になる。子ども支援は地域づくりなのである。
家庭において「子は鎹(かすがい)」と言うが、孤立孤独や貧困がまん延し、強い自己責任論の中でバラバラになってしまったわれわれは、それでもまだ子ども支援を通じて再びつながり直せるのではないか。子どもと関わることで、そうした明るい未来の兆しが見えてきている。子どもは日本社会の希望である。
(おわり)