全国各地で学校が再開される中、東京都八王子市で高校1年生の男子生徒が自宅で拳銃自殺するという痛ましい事故があった。自殺の原因はまだ不明のようだが、本人が中学校時代、不登校気味であったことが分かっている。コロナ騒動で大部分の学校は3カ月以上休校状態が続いた。1年分超の長期休業明けの学校再開で指摘されるのが子供の自殺と不登校である。大型連休や長期休業後の子供の自殺と不登校の発生率が高いことはいまや常識となった。八王子市の高校生の自殺が長期にわたる休校に影響していたかは分からないが、今回3カ月以上に及ぶ休校が子供たちに少なからず不安と混乱を招いていることは事実であろう。学校の再開で教師は忙しい状況にあり学習指導ばかりに目を向けがちだが、3カ月前とは明らかに違う子供たちの心のケアにも配慮が必要だ。文科省が6月5日に公表した「『学びの保障』総合対策パッケージ」によれば、その名が示すように学習保障に予算の大部分が割かれている。しかし、スクールカウンセラー(SC)やスクールソーシャルワーカー(SSW)の配置は「必要に応じて」である。学校再開に喜ぶ子供たちの心の中に潜む闇の部分は現場の教師は見逃しがちだ。SCやSSWの増員配置を再考する必要があるのではないか。同省は、タブレットなどのICT端末を各家庭に配備する予算化もしている。これを不登校傾向のある子供への学習指導や教育相談にも活用する視点を忘れてはならない。いずれにしてもコロナ後の子供の変化には要注意だ。