2022年度の全国学力・学習状況調査の結果が公表された。今回課題とされたのは、例えば国語で自分の考えが伝わる文章になるように根拠を明確にして書くことや数学でデータの特徴や傾向を読み取ることなどである。これらは過去の調査結果と同じ傾向が見て取れる。言い換えればこうした課題の原因となる読解力や思考力・判断力・表現力の育成がいまだに学校の授業で十分図られていないということになる。学校における指導の在り方もだが改訂された学習指導要領の点検も必要であろう。
今回は理科が4年ぶりに調査対象となった。中学校・理科では平均正答率が前回調査と比べ大幅に下がった。これに関する国立教育政策研究所の鈴木敏之次長のコメントに注目した。次長は設問について「教科書にもあまり載っていないような場面設定をしている。これは望ましい授業の在り方を示したいというメッセージの意味で、やや高めの球を投げたもの。それが結果にも表れている」と述べている。
このコメントを聞き授業における教材研究の大切さを再認識した。教材研究は目の前にいる子供たちの実態を見据えながら学習指導要領が求める目標に近づけるため教師が日々行わなくてはならない授業づくりの基本である。学習内容だけでなく指導方法の研究も「主体的・対話的で深い学び」の成立には欠かせない。
今回のコメントは現場の教師へのエールとして受け止めたい。しかし、それが十分できない状況が今の学校現場に存在していることも「働き方改革」の視点から国は読み取ってほしい。