(円卓)今こそESD

(円卓)今こそESD
【協賛企画】
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湘南学園 学園長 住田昌治

 「日本の教育は変わらなきゃ!」という圧力がすごいが、なぜ変わらなければならないのか、ESDが教えてくれる。

 ESDは、地球社会を持続不可能にしつつある価値観や行動、ライフスタイルに影響を与えてきた教育の在り方自体を変えていくことだ。しかし、学校現場においては、これまでの教育の在り方はそのままに、授業の中での取り組みや熱心な教員だけの取り組みにとどまる実践が多かった。

 学習指導要領には前文が設けられ、これから目指す社会は「持続可能な社会」と明確に示された。今、漠然とした不安や違和感、世界にまん延する暴力の連鎖、排他的な自国中心主義、コミュニティーの対話力・多様性受容力・共感力の欠如、分断と非寛容な社会が広がってきている。

 このような持続不可能な社会のシステムを子供たちに担わせてよいのだろうか。これから先、子供たちが今までと同じように豊かな生活を過ごせる保証はない。今、目の前にある問題に、私たちが真剣に向き合わなければ、これから先の時代を生きる子供たちに全ての「つけ」を払わせることにもなる。

 持続可能な社会の創り手を育むために、覚えたことを吐き出すような再現のための教育から、自分で問いを立て、自分で考え、自分で問題解決する変容のための教育への転換が求められる。

 批判的な思考力を高め、すぐに答えを求めるのではなく、急がず、ゆっくり考えて、多様な考えを尊重し合う学校文化に変えていかなければならない。そんな学校の体質改善を行う時、学校そのものが受け身・画一的で変わろうとしないのであれば、ますます体質は悪化する。それどころか、主体性のない、疲れ果てた教職員を毎日見続けなければならない子供たちは、こんな大人になりたくないと思うだろう。

 まず大人がワクワク感を持ち、安心して挑戦する環境が整えられ、失敗を恐れることなく、結果よりもプロセスを大切にする感覚が日常で共有される学校に変えていくことが求められる。

 学校全体での取り組みは、ユネスコなどが推奨する「ホールスクール・アプローチ」であり、学校全体を対象に児童生徒に寄り添いながら推し進めていく「変革」である。旧態依然たる「学校文化」に変容を迫る過程を大切にしていきたい。

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