障がいのある子供が就学や進学をする際、活用できる行政の制度や地域から受けられる支援をまとめたガイドブック。
序盤から学齢簿の作成や就学時健診といった、就学に関する流れが詳細にまとめられ、就学通知によって指定された学校に不満がある場合における不服申し立ての方法まで記す。自分の子供がどのように就学・進学するのかが分かりやすく、なおかつ実用的な情報がいっぱいだ。中盤では、通常学級、特別支援学級、特別支援学校のいずれか一つしか就学先を選べない現状に筆者は警鐘を鳴らす。居住地校に通いながらも専門的な経験を持つ特別支援学校の先生の指導を受けられる、そんな複数の目で見守られる環境を整えるための方策を提案。障がいの有無だけでなく、不登校や非虐待などさまざまな子供の学ぶ権利を補償するため、〝特別ニーズ教育〟の必要性を説く箇所は教育関係者であればこそ目を通しておきたい。
Q&Aも充実しており、「就学時健診を受診しないと罰せられるのですか」「個人情報を含む『個別の(教育)支援計画』が行政機関や関係者などで勝手にやり取りされることには納得がいきません」といった声に寄り添いつつも適切な回答を示す。他にも、高校や大学の進学状況の現状も触れており、保護者が抱えている不安を一つ一つ和らげてくれる。
包括的な内容になっており、障がい児と関わる人であれば何度でも手に取るシーンがありそうだ。