2022年度の後半を迎えます。教師の不祥事や教員不足が多く報道されていますが、各校の教師の資質向上策は機能しているでしょうか。
2点論じます。1点目は、授業改善の道筋が示された研究が推進されているかどうかです。和歌山県白浜町立富田中学校の実践を伝えましょう。「2030年に向けて若手教員が活躍できる人材づくりと学校の在り方」をテーマに、近隣校へ協力を呼び掛けるセミナー方式で各教科の授業改善を推進しています。
注目すべき点は、若手教員が校務分掌の中心的役割を担っていることです。ベテラン教員はそれを支え、授業改善を目指して全校で取り組んでいます。
各教科の研究授業で力量形成の道筋が示されているのも注目されます。事前に教科部会や各学年で指導案の検討を重ね、地域の教科指導力のある教員の力も借りながら、よりよい授業を目指しています。「板書型指導案」などを作成し、よりよい授業ができるよう工夫しています。1枚の指導案には、1単位時間の板書、主体的な学びになるための手だて、深い学びに資する具体的な取り組みなどが示されています。書式が教職員で共有されているので誰もが参画しやすく、この取り組みで若手教員の成長が見られるようになりました。
2点目は「小学校高学年の教科担任制」の推進に向けた、小中学校の連携力があるかどうかです。前記で取り上げた富田中学校では近隣校の管理職や教員に参画を呼び掛け「小学校教科担任制セミナー」を実施しています。地域の実態、特性に応じた教科担任制を目指して、基礎編、実践編のセミナーの開催でレベルアップを図ります。
また、和歌山県田辺市立新庄第二小学校では「小規模校の教科担任制」を今年度から導入し、成果を上げています。1学期に児童・教員アンケートを実施し、結果を分析して課題をピックアップ。それを近隣の中学校長らに伝えて中学校側から回答をもらい、課題解決の道筋を明らかにしています、小中学校の単なる交流からの脱却を目指しています。
各校が目指すべき課題に対して次年度からの学校経営を視野に入れつつ、学校教育のあるべき姿を、ビジョンのある運営で改革・変革が当たり前の学校にしていく必要性があります。企画力・準備力を怠ることなく、学校経営に専心してもらいたいものです。