(鉄筆)教師不足調査で……

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 1月に公表された「『教師不足』に関する実態調査」で、昨年度の始業日時点で公立小学校の4.9%、公立中学校の7.0%で教員が不足していたことが分かった。今年度の状況は公表されていないが、教職員団体の調査では19都道府県.4政令市の小中学校で861人の不足という。

 9月5日付の本紙では、アメリカでも危機的レベルで教員が不足していると報じている。長時間労働と低賃金を背景に早期退職が加速し、新規採用教員の需要に対して応募者は絶対的に少ないという。他のメディアでもヨーロッパ各国での教員不足が深刻なことが伝えられている。

 9月9日、文科省は昨年度実施された(今年度採用の)公立学校教員採用試験の実施状況を発表した。小中とも昨年度より受験者が減り、競争率も低下した。同省では特別免許状の活用などにより教員不足に対応しようとしているが、教員の質を低下させる危険性もあり、事態を悪化させることにもなりかねない。

 これまで「子供のために」という掛け声だけでやってくることができたのは、教員の使命感に負うところが大きい。しかし、日本では年間5000人の教員が精神疾患で休職している。この休職がなければ教員不足は起こらない。

 そのために生活と調和の取れた仕事の実現、給与をはじめとした処遇の改善を行い、優秀な教員志望者が積極的に採用試験に応募するようにすることが必要である。小手先の改善ではなく、抜本的な改革をすることによって教員が真にプライドを持って教育に当たれるようにすることが求められる。

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