(鉄筆)手書きの大切さ……

(鉄筆)手書きの大切さ……
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 「文字は人なり」と先輩から教えられた。かつては書面の文字を見ると「あの人の字だ」とすぐ分かることが多かった。個性のある文字、味わいのある文字に出合うと本人にお会いしたように感じた。

 最近は自筆の手紙以外は活字ばかりになった。タブレットが導入され子供がどんどん使う。ある教師がふと漏らした。「タブレットで無機質な文字を見せ合っていてよいのか。自分の文字で書いて見せ合い読み合うことで通うものがあるのではないか」。

 文化庁の2021年度「国語に関する世論調査」の結果が9月30日に公表された。調査は今年1~2月に16歳以上6000人を対象に行われ、約3600人から回答を得た。言葉の使い方の課題や新しい言葉の使用、慣用句の意味などを尋ねている。

 「情報機器の普及で、社会における言葉や言葉の使い方が影響を受けるか」の問いには90・6%が「影響を受ける」と回答。その中で、「漢字を手で正確に書く力が衰える」と回答したのは89・0%。日本語への影響として「手で書くことが減る」は89・4%、手書き離れが心配される。「長い文章を読むことが減る」32・3%。大人でもこの結果である。子供はもっと影響が出るのではないか。

 同庁は、手書きについて「漢字を覚える上で有効であり、パソコンの文字を適切に変換する上でも重要」「国民の多くも危機感を持っていることが分かった」「手書きで学ぶことの大切さ発信していきたい」とコメント。学校でも改めて文字の意義、手書きの大切さを指導し、手で書く力を高めることを重視する必要がある。

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