2021年度の「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」の結果が公表され、いじめや不登校の数値が20年度よりも大幅に増加した。コロナ禍による休校の影響を受けた20年度と違い、通常の学校生活となりつつも宿泊行事などの集団行動には制約があった21年度は人間関係をつくる活動が十分に行えなかったことが要因と考えられる。
コロナ禍の影響は大学生にも波及している。9月末に同じく文科省から出された「第20回21世紀出生児縦断調査」の結果である。今回調査対象となった01年生まれの20歳(うち在学者76・2%)の経年変化に注目した。「学校の友人関係はうまくいっている」「教師との関係はうまくいっている」といった人間関係については、3年前(当時高校2年生)の調査と比べると減少しておりコロナ禍の影響であることが明白である。
意外なのが「ためになると思える授業がたくさんある」など授業に関する満足度が高く、「自分に対して肯定的である」「動揺しても自分を落ち着かせることができる」といった自己肯定感や自己コントロール力が2年前や3年前の調査よりも高くなっている点だ。これは何を意味するのであろうか。
前述の問題行動調査ではコロナ感染を配慮し自己判断で学校を休む子供が増えていた。欠席に対する抵抗感がなくなったこととともに自分を冷静に振り返る態度が身に付いてきたのだろうか。次回以降の調査に期待を寄せたい。いずれにしてもコロナに振り回された年であったことは確かだ。