(鉄筆)経験者採用……

(鉄筆)経験者採用……
【協賛企画】
広 告

 経団連は先月、新卒以外の採用に使っていた「中途採用」という呼び方をやめ、「経験者採用」とするよう会員の企業に呼び掛けた。「中途」という言葉のネガティブなイメージを払拭(ふっしょく)して、人材確保を進めることが狙い。

 これまで企業の多くは終身雇用を前提とし、春に新卒を採用する一括採用をしてきたが、最近は特定の技能を持つ人を即戦力として通年で採用することが広がっている。退社した社員の再雇用や職務内容を明確にして契約を結ぶジョブ型なども含め、多様な採用方法が行われる。

 このような中、教員採用選考の倍率は年々低下し続け、昨年度の小学校の倍率の全国平均は2・5倍で過去最低となった。教員不足も課題となっており、ある教育関係者のグループの調査では、9月になっても回答者の6割の小学校で不足していた。

 10月に文科相は、優れた人材を確保する教員採用の在り方として、従来夏に行われている教員採用選考を早期化・複線化することに向け、文科省と各教育委員会の協議会を立ち上げ、24年度から新しい教員採用選考の仕組みを開始する見通しを示した。

 課題解決に向けて改善策が取られることは喜ばしい。ここで見落としてはいけないのは、教員採用選考の受験者数そのものの減少だ。教職は子供の成長に関わることができる魅力的な職業である。そのことをどのように強調しようとも、今、その魅力をしのぐマイナスの状況が教職を覆っていることを改めて認識する必要がある。学校の働き方改革の推進と教員の処遇の改善が求められている。

広 告
広 告