(円卓)SDGsと学校教育の展望

(円卓)SDGsと学校教育の展望
【協賛企画】
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日本持続発展教育フォーラム理事 手島利夫

 SDGsが大ブレークしている。ようやく学習指導要領で示す「持続可能な社会の創り手」の育成(ESD)という理念が、社会全体で共有され、それが学校教育の在り方にまで及んできているのである。

 しかし、各校での取り組み内容・程度は千差万別である。指導案にSDGsのロゴをひも付けた程度のものから、地域の課題に行政や企業・関係機関と共に取り組み、その成果を国際交流の視点としたり、自分たちのキャリアや生き方について考えを深めたりするものまである。保護者も子供たちの成長や言動に期待を寄せている。

 どのようにSDGsに取り組むかは、各学校や教員への評価にもなりつつある。

 持続可能な世界をどのように実現するかは、正解のない問いである。それなのに教師の顔色をうかがい、大人の喜びそうな答えを並べるような子供の姿には、全く価値がないということを心しておいてほしい。どこをどのように切ってもSDGsへの意気込みがほとばしるような学校教育を創っていかねばならない。

 各学校では年度末評価が始まる頃だが、その評価の視点そのものが時代遅れになっていないだろうか。未来世界で力を合わせて生き抜く子供たちをどのように育めばいいのか、教育目標そのものから見直し、学びの出発点ともいえる「問題発見力・解決力」の育成を重視した教育課程の編成に心掛けてほしい。

 コロナ禍の混乱の中で、児童生徒の学力保障の必要に迫られて導入されたタブレットではあったが、今や各教室では驚くほど上手な活用が進められている。

 基本的な資料を一斉配信すると、各自が開き、読み取ったことをグループで共有し、そこでまとめた意見を打ち込み、全員が見ながら検討するなど、学習の多様化にも活用されている。

 もう、知識の伝達機関であった昔の学校には戻れないのである。

 「5年前に教えていただいたことを基に、ようやく市の教育振興基本計画の改訂ができました」と、ある市教委から先日資料が届いた。

 理念から末端の施策にまで一貫してSDGsの実現に向けた計画の改訂に頭が下がる。教育行政の格差が時代遅れの教育を放置する結果にならないよう、この国の教育の進展を見守っていこう。

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