(鉄筆)心理的安全性……

(鉄筆)心理的安全性……
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 今年は現行の学習指導要領に基づく教育課程による教育が行われ小学校は3年目、中学校は2年目だった。「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善がキーワードの一つで、これを研究主題に掲げて研究を進めている学校も多い。

 従来ならば、取り組んで2~3年目は、ある程度の成果が見え始める頃だ。しかし、コロナ禍で子供同士が額を寄せて話をすることを避けざるを得ず、対話的な学びについての研究が思うように深められなかったとも聞く。それだけが原因だろうか。

 子供が自分の考えを友達と交流し深めるには、相手を信じ安心して話せることが大前提である。例えばいじめの認知件数を見ると、2020年度は新型コロナの感染拡大の影響で一時的に減少したが、21年度は再び増加傾向にある。文科省は教育相談体制の充実といじめ防止対策推進法の定義に基づくいじめの認知と組織的対応を訴えている。

 今、企業をはじめさまざまなところで組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対しても安心して発言できる「心理的安全性」が重要視されているが、学校も同様である。早期のいじめ認知や、それへの適切な対応は大切だが、どの子供も安心して学校で生活や学習ができるよう、いじめが起こらない学校づくりに力を注ぐ必要がある。時間はかかるかもしれないが、いじめを生まない校風づくりに、もう一度真剣に全校体制で取り組んでほしい。

 来年こそは一人一人の子供が安心して自分の考えを発信して友達と交流し、深い学びができるようになることを強く願い、今年の筆を置く。

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