(鉄筆)発達障害の可能性……

(鉄筆)発達障害の可能性……
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 文科省の調査で、小・中学校の通常学級に在籍する児童生徒のうち発達障害の可能性のある者の割合が約8・8%(小学校10・4%、中学校5・6%)いることが判明した。これは10年前に行った同様の調査結果(6・5%)と比べ増加している。

 この結果について文科省は、10年前に比べ回答した学校の発達障害に対する認識が高まっていることなどを背景として挙げている。納得する説明であるが、発達障害のある子供が増えているのではなくその数値は氷山の一角だと捉えるべきだ。

 本調査は子供たちと日常接している教員の観察による調査であり客観的なデータとは言い難い。言い換えれば、教員や学校によって差があるということだ。実際に調査を行った有識者会議は学校の校内委員会で特別な支援が必要と判断されたのは3割弱で支援の検討自体がされていない子供がいるとし、学校全体での体制づくりが必要だ、としている。

 問題は本結果を受けての国の対策である。文科省は対人関係の築き方や学習の仕方に関する指導を個別に行う通級学級での指導を挙げているが、これは従来の考えとさほど変わりがない。特別な支援が必要な子供の数が表面化し増加するほど教員の負担も増えることは自明の理である。

 校内委員会のメンバーとなる巡回相談員、福祉・保健などの関係機関、医師、スクールカウンセラー、作業療法士などの専門家のほか教員数を増やさなければ文科省の提案は絵に描いた餅であろう。本調査結果を前面に押し立て予算確保に臨んでもらいたい。

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