正月の2日、3日は毎年、箱根駅伝を観戦するのを楽しみにしている。今年は沿道にコロナの感染防止対策をした人々の姿があり、選手もその応援に励まされただろう。それもあって、各大学が力を発揮して往路も復路も順位が目まぐるしく入れ替わる見応えのある駅伝となった。
今回は優勝する大学はもちろん、上位10校に入るのはどこかが注目された。来年は第100回の記念大会のため上位10校がシード校として出場権を得るが、それ以外の10校は関東以外の大学も含めた予選会を勝ち抜かなければ出場できない。
筆者はそれ以上に、目の前で今、走っている選手が気に掛かった。力走する選手の紹介の中に「昨年の悔しさをばねに1年間練習を重ねてきました」「4年生の選手です。これが最初で最後の駅伝です」などの言葉があると、つらくとも負けずに練習を続けてきた意志の強さを思う。中継所で襷を引き継ぎ倒れ込む選手に、運営管理車の監督からの「ありがとう。よく頑張った」というねぎらいの言葉にほっとする。
「ここで給水を担当するのはキャプテンです。4年間、一度も箱根路を走ることができませんでした」という紹介には、選手として走ることの難しさとチームとしての勝利に向けて一丸となることの大切さを考えさせられた。
この時までに駅伝から離れていった学生も少なからずいたことだろう。選手として走ることも、選手ではなくても駅伝に関わることも、そして駅伝以外を選択することも、その人が価値を感じることが大切にされ、その多様性を尊重することが求められる。