今年の大学入学共通テストは大きな混乱や事故もなく無事終了した。いよいよ本格的な入試シーズンを迎える。各予備校は入試問題を分析し早くも2024年度入試に向けた対策をホームページで紹介している。そんな中、入試戦線には新たな変化が訪れようとしている。大学の入試倍率低下による「大学全入時代」の到来である。
文科省の学校基本調査をもとに大手予備校の河合塾が試算したところ、大学志願者数が大学定員数を下回るのは早い見積もりでこの23年度ではないかという。国立大学の統合再編などこれまでも全入時代に向けた対策は検討されてきたが、今後は生き残りを懸け私学においても大学間の統廃合が進むのは確実だ。
それ以上に大学が考えなければならない課題がある。「主体的な学び」を中心とした授業改革である。また、大学で学んだことを将来の自分の人生設計にどう役立てるのかといったウェルビーイングな学びの視点に立った進路相談体制の質的転換である。
当然、高校も進路指導をこれまでの入り口(入試)重視ではなく生徒の人生観とリンクさせた大学選び、つまりキャリア教育の視点に立った進路指導にシフトせざるを得なくなってくる。
民放テレビで法科大学院を舞台にしたドラマが放映されている。司法試験に受かるための授業か実際に法廷に立った時に役立つ授業かの場面が毎回出てくるが、答えは言わずもがなであろう。いい大学に入れば素晴らしい人生が約束される時代は終わっているのに気付いていないのはもはや親と学校関係者だけかもしれない。