各学校で教育課程を編成する際に、教科等の種類は学校教育法施行規則に、教科等の標準時数は同施行規則の別表に、「各教科等の目標及び内容」「内容の取扱い」は、学習指導要領にのっとって編成が行われる。
また、授業時数設定の前提条件である授業日は、学校教育法施行規則に定める休業日の規定によって導かれる。小・中学校において、これらの規定を逸脱する特別の教育課程を編成することはできないとされている。例えば、新しい教科を設けたり、ある学年の教科の内容を他の学年に移行したり、各教科等間の授業時数の配当を大幅に動かしたりすることはできない。これらの趣旨は、国全体の教育の共通性を確保し、教育水準を維持する点にある。
一方、学校や地域の特色を生かした教育推進の流れの中で、教育課程の基準によらない特別の教育課程の編成を可能とする制度が実施されてきた。
1976年度から実施されている制度が研究開発学校制度である。この制度は、文科相の認定の下で、教育課程の改善に資するための研究を行う学校であり、これまでも生活科や総合的な学習の時間、小学校英語、小中連携・中高連携等に資する研究開発が行われてきた。
2002年度に、指定された地域において国の規制を改革し、地域の活性化を図る構造改革特区事業が創設された。その一貫として学習指導要領によらない教育課程の編成を可能とする構造改革特区研究開発学校制度が03年度から開始され、その後、08年度に現在の教育課程特例校制度として継承されている。
指定を受けた特例校では、学校が設置されている地域の実態に照らして特別の教育課程が編成・実施されている。外国語教育、ふるさと・地域、言語や言葉、小中連携などに関する教科等が設置され、地域の特色を踏まえた教育課程が編成・実施されてきた。
99年度に施行された中等教育学校、16年度に施行された義務教育学校制度に伴って、学校段階間の円滑な接続を図り計画的・継続的な教育を促すための特例が設けられた。一貫教育を行うための教科の設定や教科等の指導内容の入れ替え、後送り、前倒しその他を可能とする特例である。
22年度から実施されている制度に、授業時数特例校制度がある。これは、学年ごとの1年間の総授業時数は維持しながら、ある教科の時数を減じて他の教科に上乗せすることによって、教科等横断的な資質・能力の育成や探究的な学習活動の充実を図ることを趣旨としている。ここで減じる教科等の授業時数は、標準時数の1割を限度としている。
これらの他に、特別支援学級、通級による指導、日本語指導が必要な児童生徒、不登校児童生徒、療養などによる長期欠席児童生徒、学齢を超過した者に対する教育課程については、特別の教育課程の編成を可能としている。
これらの特例のうち、小中一貫教育および中高一貫教育に伴う特例は文科省告示によるが、他の特例は学校教育法施行規則に規定されている。