元全連小会長の喜名朝博氏が本紙掲載の「オピニオン」で新採教員の早期離職について触れていた。文科省の調査によれば2021年度の新任教諭の離職者は全国で539人おり、全体の1・6%で過去最多だった。民間企業の離職率に比べればはるかに少ない数だが、教員不足の現状からすれば危機感の大きさは民間と同様であろう。
学校の働き方改革は始まったばかりだが、民間では15年の若者雇用促進法、19年の働き方改革関連法などの施行により、残業時間の上限規制や年休の確実な取得が雇用側に義務付けられ、就活する学生にもその結果を公表するなど働きやすい環境整備が行われてきた。しかし、厚労省の調査によればそれでも早期離職率は上昇しているという。
企業は若手社員の離職を止めてどう育てるかに頭を悩ませている。こうした状況の改善策について古屋星斗氏がその著書『ゆるい職場』(中央公論新社)で提案している。
若手育成の効果的なポイントは2つあり「ヨコの関係で育てる」、つまり若者同士で考えさせる環境をつくる。もう一つは「外を使って育てる」、つまり自社の職種とあまり関連のない仕事も経験させる、である。これからは上司・先輩が育てるのではなく「若者自身が自分を育てる」ことしかないという。
ある小学校では校内研究会の際、学年別で行われていたグループ協議を経験年数別にしたら、若手教員グループから多くの意見が輩出し研究に新たな発想が生まれた。若手育成のキーワードは子供たちと同じく「引き出す」ことなのかもしれない。