東京理科大学教授、「生徒指導提要」協力者会議座長、日本生徒指導学会会長
連載の終わりに、私の個人史からデジタルテキストに込めた願いを、簡単に述べたいと思います。詳細は、「生徒指導提要の改訂に関する協力者会議」(第9回)議事要旨をご覧ください。
2023(令和5)年1月13日に中教審教育振興基本計画部会が、「次期教育振興基本計画の策定に向けたこれまでの審議経過について(報告)」を公表しました。教育振興基本計画は、教育基本法第17条第1項で規定されているように、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育施策の基本的な方針および講ずべき施策に関する計画です。
「生徒指導提要」は、教職員の共通理解を図り、組織的・体系的な生徒指導の取り組みを進めるための共通教科書です。小学校から高校まで全ての教職員が最低限知っておくべき知識、つまりミニマムエッセンシャルズです。
生徒指導提要は、そもそも何のために作られたのでしょうか。その答えは、旧版のまえがきにあります。以下、その抜粋です。....
デジタルテキストは、紙の本と同じように文字で構成されています。そのため、改訂に関わった人やプロセスが、隠れてしまいます。そこで、今回は改訂版の作成プロセスについて、簡単に述べたいと思います。皆さんに一番理解していただきたいのは、改訂版は文科省が独善的に作成したわけではないという点です。
改訂版において、生徒指導の組織的対応方法として全面的に打ち出しているのが「チーム支援」です。 旧版では、「第6章 生徒指導の進め方」「Ⅰ 児童生徒全体への指導」「第1節 組織的対応と関係機関等との連携」「1 チームによる支援」があります。
改訂版では、教職員のリーガルナレッジ(法知識)の確実な理解と習得を目指しています。特に、第Ⅱ部では各章で生徒指導関連法規を提示して、説明をしています。
生徒指導における不易流行とは、何でしょうか。改訂版は、時代の変化(流行)に対応して作成をしていますが、旧版と変わらないもの(不易)があります。それは「児童生徒理解」と「学級・ホームルーム経営」の大切さです。この2つが、重層的支援構造の全体を貫く支柱と言っても過言ではありません。
改訂版では、生徒指導を組織的・計画的に実践するためのモデルとして、2軸3類4層から成る重層的支援構造モデルを提示しました。 旧版では、全ての子どもを対象にした成長や発達を促進する成長を促す指導、一部の子どもを対象にした深刻な問題に発展しないように初期段階での解決を図る予防的な指導、深刻な問題を抱えた特定の子どもを対象にした課題解決的な指導の3類型が示されていました。
新たな「生徒指導提要」(以下、改訂版)では、次の3点が大きく旧版とは異なります。 第1は、生徒指導の定義と目的を明確にしたことです。教育基本法における学校教育の目的や子どもの権利条約を踏まえて、子ども主体の定義をし、なおかつ目的を明示しました。
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