【「令和」時代の新しい生徒指導(7)】変わりゆく社会で「学び続ける教職員」のための共通教科書

【「令和」時代の新しい生徒指導(7)】変わりゆく社会で「学び続ける教職員」のための共通教科書
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 生徒指導提要は、そもそも何のために作られたのでしょうか。その答えは、旧版のまえがきにあります。以下、その抜粋です。

 「小学校段階から高等学校段階までの生徒指導の理論・考え方や実際の指導方法等について、時代の変化に即して網羅的にまとめ、生徒指導の実践に際し教員間や学校間で教職員の共通理解を図り、組織的・体系的な生徒指導の取組を進めることができるよう、生徒指導に関する学校・教職員向けの基本書として、この『生徒指導提要』を取りまとめました。」

 この記述から分かるように、生徒指導提要は、時代の変化に即した小学校から高校までの生徒指導に関する基本的な考え方や理論、実際の指導法などに関する網羅的で体系的な基本書、すなわち共通教科書だと捉えることができます。このスタンスは、新版のまえがきにも同様の記述があり、引き継がれています。

 これほど重要な生徒指導の共通教科書であるにもかかわらず、旧版の学校現場での定着度や活用度は委員会でも話題になりましたが、非常に低いという声が多くありました。

 旧版は紙の冊子体でも、当時300円以下という安価でした。また、文科省のホームページからPDFでダウンロードもできました。しかし、その存在を知らない、あるいは使ったことがない教職員は、私の教職員研修の経験からも大多数だと実感しています。

 その意味で、いつでも、どこでも、短時間で、的確な学習ができ、なおかつ、無料で使える生徒指導の共通教科書が必要だと、私は思いました。この条件を満たすには、現状の教職員の職場や家庭でのICTの活用状況を考慮すると、デジタルテキストが最適だと考え、作成に挑戦しました。

 他方、教育基本法(第9条)や教育公務員特例法(第21条)において、教師は「絶えず研究と修養」に努力するよう規定されています。また、中教審の答申「『令和の日本型学校教育』の構築を目指して」(2021年)においても、2020年代を通じて実現すべき教職員の姿として、教師は教職生涯を通じて、「自律的かつ継続的に新しい知識・技能を学び続け」ること(22㌻)を明記しています。

 教職は、専門職です。いじめを許さないと断言する教師が、いじめ防止対策推進法を知らないとなると、教師への信頼はなくなります。ぜひ、改訂版を自学自習や各種研修で利用してみてください。

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