【「令和」時代の新しい生徒指導(6)】One Vision and Multidisciplinary Approachによる熟議と創作

【「令和」時代の新しい生徒指導(6)】One Vision and Multidisciplinary Approachによる熟議と創作
【協賛企画】
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 デジタルテキストは、紙の本と同じように文字で構成されています。そのため、改訂に関わった人やプロセスが、隠れてしまいます。そこで、今回は改訂版の作成プロセスについて、簡単に述べたいと思います。皆さんに一番理解していただきたいのは、改訂版は文科省が独善的に作成したわけではないという点です。作成プロセスを要約すると、次の通りです。かっこ内は、取り組みのキーワードです。詳細は「生徒指導提要の改訂に関する協力者会議」のホームページと議事録をご覧ください。

 第一に、多数の専門家や教職員による議論(熟議)と外部の意見を取り込み(傾聴)ながら、多くの時間をかけて作成しました。

 第二に、各章ごとに専門家に執筆依頼をしています。執筆者からの原案も、執筆者と協議を重ね、推敲(すいこう)を繰り返しました。また、国が出すテキストなので、関連省庁による確認と補足修正(ネガティブチェック)を繰り返しました。

 第三に、デジタルテキストの仕上げ作業では、児童生徒課と座長および副座長で昼夜を問わず、原稿の詳細チェックと補足修正作業を繰り返し(協働)、私の方でデジタルテキスト化(創造)をしながら作成しました。

 また、協力者会議の委員は、生徒指導・教育相談・道徳教育・キャリア教育・学校心理学・児童福祉学などを専門とする大学教員、小中高校の校長、教育長、国立研究所研究員、養護教諭・保護司・特別支援教育コーディネーター、全国PTA協議会の代表など24人と国立教育政策研究所のオブザーバー3人の総勢27人から成ります。チーム学校におけるチーム支援と多職種・多機関連携による行動連携を想定した構成にしました。

 熟議という点では、オンラインの公開会議が9回(第6回は非公開)行われ、多くの傍聴者の参加がありました。また、弁護士会、教員組合、若者協議会、学会、政党などからの意見書や個人的なメールも受け取りました。多角的・複眼的な議論と、外部からの多様な意見を考慮して作成をしたということに留意してください。なお、座長としてラッキーだったのは、関係者がこの一大事業に、まさにチームとして一丸となって取り組んでいただいたことです。共通目標の共有が、委員会運営では最大の難関です。

 今回、改訂の趣旨という共通のビジョン(One Vision)の下で、多様な専門知と実践知(Multidisciplinary Approach)を駆使して創作できたことに、感謝しております。

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