【「令和」時代の新しい生徒指導(8)】教職員養成・採用・研修におけるデジタルテキストの活用

【「令和」時代の新しい生徒指導(8)】教職員養成・採用・研修におけるデジタルテキストの活用
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 「生徒指導提要」は、教職員の共通理解を図り、組織的・体系的な生徒指導の取り組みを進めるための共通教科書です。小学校から高校まで全ての教職員が最低限知っておくべき知識、つまりミニマムエッセンシャルズです。

 同書は、現職の教職員向けに作成されていますが、個人的にはそれでは遅いと思っています。これから教師やスクールカウンセラー(SC)、スクールソーシャルワーカー(SSW)になりたい人に、ぜひ就職前に読んでいただきたいと思います。

 教師は、専門職です。同じ専門職の弁護士や医者を例にすると、仕事上必須の基本知識を就職後に学ぶということはないでしょう。教職員を養成する学部の段階で、デジタルテキストを活用して、効率的に生徒指導をしっかりと学ぶことが大切になります。

 教員養成ということで言えば、学部または大学院を卒業後すぐに採用されても、授業や生徒指導ができる実践力が求められます。

 ご自身がいじめや虐待の被害経験がなくとも、子どもが被害を受けた場合には、適切な対応が必要になります。子どもの人権や命を守るためにも、また、自分自身の教職人生を維持するためにも、同書の基本知識の習得は、養成段階で学んでおくべきだと思います。

 SCやSSWを希望する人も、心理や福祉に関する専門知識だけではなく、冠の「S=スクール」に関する知識が必要だということに留意してください。

 今後、採用試験における教職教養問題や面接などで、同書から問題や質問が出題される可能性は高いと思います。教育学部や教職課程で学んでいる学生の方は、「試験に出そうだから学ぶ」という姿勢ではなく、「自身の教職人生の基盤形成のために学ぶ」という姿勢で臨んでいただければと思います。

 長年、現職の教員研修を行ってきた経験からすれば、生徒指導のみならず、学習指導要領、教育基本法、学校教育法、地方公務員法などに関する基本知識がなおざりにされている印象があります。この傾向は、初任者研修、生徒指導主事研修、教育相談コーディネーター研修、中堅教諭等資質向上研修、管理職研修なども同様です。

 生徒指導は、危機対応を伴います。初動での判断ミスや対応ミスは、悲惨な結果を導きかねません。今後、同書を学校内外の研修で効果的に活用していただければと思います。

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