【「令和」時代の新しい生徒指導(5)】多職種・多機関の連携・協働によるチーム支援

【「令和」時代の新しい生徒指導(5)】多職種・多機関の連携・協働によるチーム支援
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 改訂版において、生徒指導の組織的対応方法として全面的に打ち出しているのが「チーム支援」です。

 旧版では、「第6章 生徒指導の進め方」「Ⅰ 児童生徒全体への指導」「第1節 組織的対応と関係機関等との連携」「1 チームによる支援」があります。「チームによる支援の基本的な考え方」「個別の事案に応じたチームによる支援体制の確立」「チームによる支援のプロセス」の3項目・3ページで構成されています。一方で、旧版の暴力行為やいじめ、不登校等の諸課題の対応においては、チームによる支援という用語がほとんど使われていません。

 現在の生徒指導や教育相談では、「チーム支援」や「チーム援助」という用語は、研究面や実践面ですでに定着しています。2001年頃から、学校と関係機関等の行動連携が提唱され、07年以降の特別支援教育によって、一人一人の子どもの教育的ニーズに応えるチーム支援は、生徒指導において主流となっています。

 さらに、15年の中教審による「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について(答申)」を受けて、いわゆるチーム学校下の生徒指導体制として、改訂版ではチーム支援を重層的支援構造の柱に据えています。

 具体的には、「第1章 生徒指導の基礎」の「1.3.4 チーム支援による組織的対応」で、チーム支援の特色について述べ、「第3章 チーム学校による生徒指導体制」で、理論的に詳しく述べています。また、これを踏まえて第4章以降の各章で、チーム支援について触れています。このように、改訂版では論理と記述に一貫性を保つように配慮しています。

 いじめを例にすると、SNSを使ったインターネットいじめ、多額の金銭を巻き上げるいじめ、性暴力等を伴ういじめ、被害の子どもの自死や自死未遂および不登校、発達障害の子どものいじめ被害など、多様で深刻です。これを学級・ホームルーム担任が一人で抱え込んで対応することは不可能です。

 リアクティブ型生徒指導では、諸課題を察知した段階で詳細な情報を収集し、何が起きていて、子どもがどのような状況に置かれているかをケース会議で分析し、自校の教職員によって対応可能なことと、学校外の関係機関等のサポートがないとできないことを洗い出し、個別の支援計画に基づくチーム支援を組織的・計画的に展開します。

 現代の生徒指導では、多職種・多機関の連携・協働によるチーム支援が必須と言えます。

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