「指導に名を借りたパワハラ」が横行 全教の19年調査

全日本教職員組合(全教)青年部は8月24日、「青年教職員に対するハラスメント調査2019」の結果を発表した。回答した教職員から「相手が正しいと思うことを一方的に押し付けられた」「怒鳴られた、過剰な叱責(しっせき)を受けた」といったパワハラの事例が多く寄せられ、全教青年部は「指導に名を借りたパワハラで、経験の浅い青年教職員が弱い立場に立たされている」と指摘。ハラスメントを生む労働環境の改善などを行政に求めていくとした。

記者会見する全教青年部の笹本育子事務局長(左)

同調査は昨年8月から12月にかけて、全教の構成組織を通じて実施。29都道府県、811人の教職員から回答を得た。年代の内訳は▽20代382人▽30代367人▽その他・無回答62人――で、性別の内訳は▽男性267人▽女性211人▽無回答333人。

回答者のうち、パワハラを受けたと回答したのは31.9%。具体的なパワハラの被害では、同僚や管理職による考えの押し付けや過剰な叱責が多く、適切でないタイミングや場所での指示・指導や、陰で悪口を言われるといった例があった。

自由記述では「学級がうまくいっていないことに対して『みんなに迷惑を掛けているのだから、まず謝罪すべき』と言われた」「少しでも失敗すると異常なまでの叱責」「生徒の前で怒鳴る」などの実態が見られた。

また働き方改革が叫ばれる中、残業を禁止しながらも業務量を減らさない「時短ハラスメント」の例も。「『超過勤務をした人は評価を下げる』ということを校長が常々発言している。そのため、実際に業務量が多く、超過勤務をせざるを得ない人であっても、勤務時間の労働申告には、定時での報告をしている人ばかりである」という声が寄せられた。

さらに、セクハラやマタハラ(パタハラ)を訴える声もあり、今回の調査でハラスメントを受けたと回答した人のうち3割は、「ハラスメントを理由に退職を考えたことがある」と答えている。

全教青年部の笹本育子事務局長は「各地の青年教職員の声を聞く中で、『言われても仕方がない』『自分の能力がないから』と受け止めてしまう人がたくさんいたが、よくよく聞いてみると、『それはハラスメントなのではないか』と思うことがあった」と話す。

ハラスメントのない職場づくりに求められるものとしては、「ハラスメントについての研修」「管理職の意識改善」「業務量の軽減」「教職員の定数増」などが多く挙がった。「意識改善だけでなく、働く環境そのものを変えて多忙化を解消するなどの条件整備」(全教青年部)の必要性がうかがえた。

全教青年部は「教職員同士のハラスメントが横行する学校では、子供たちの人権を守ることはできない」として、ハラスメントの温床となる長時間労働や人手不足、失敗を責める風土の改善を訴えていくという。

さらにコロナ禍により業務量が増加しているケースもあることを踏まえ、全教では今年の学校再開から夏休みまでの間の残業や、「時短ハラスメント」の実態について調査を進めており、9月中旬以降に結果を公表するとしている。

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