第5回 ネガティブな捉え方へのアプローチ

第5回 ネガティブな捉え方へのアプローチ
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 「無理」「やりたくない」「面倒くさい」…。こうしたネガティブな発言は周囲のやる気を奪ってしまうため、放っておくと学級全体の意欲の低下や荒れにつながります。そのため、こうした声が聞こえてきたときは「せっかく頑張ろうと思っている子たちが嫌な気持ちになるような言葉は言わないでほしい」とはっきり伝えるようにしています。

 また、そうしたネガティブな捉え方自体も改善できるように働き掛けていきます。例えば、学期初めの検査や検診の場面。待ち時間が多いからか「面倒くさい」「やりたくない」といったマイナスな声が聞こえてくることがあります。一方で、検査をしてくれた養護教諭の先生などに対して、自然にお礼を言うことができる子もいます。そこで、そうした子たちにスポットライトを当てながら、感謝を持つことのメリットを伝えていきます。

 「検査が終わったときに、何人か『ありがとうございました』とお礼を言っていた人がいました。この『ありがとう』という言葉が大切だということは、みんなも聞いたことがあると思うんですが、どうして大切なのか考えたことはありますか?」

 挙げられた意見を受け止めながら次のように続けます。

 「先生は最近、『ありがとう』は自分にとっても幸せなことなんだと思うんです。例えば、ありがとうと自然に言っていた人たちはきっと、検査をしてもらったこと、自分のことを診てもらえたことに注目しています。でも逆に『面倒くさい』『やりたくない』と言っていた人や思っていた人が注目しているのは、マイナスな部分です。

 みんなはしてくれたことに目を向けて、『ありがとう』とたくさん思いながら生活するのと、マイナスなことに目を向けてイライラしながら生活するのでは、どちらが良いですか?過ごしている時間は一緒でも、何を見るかで感じることは全く違います。教室でも、誰かのために行動してくれる人に気付いて、ありがとうの気持ちを持ったり、伝えたりできれば、温かな毎日が過ごせそうです」

 インターネットを開けば批判や中傷などネガティブな言葉があふれているような時代。気が付けばマイナスな部分に目を向けることが習慣になってしまっています。しかし、その捉え方は授業や行事の取り組み、仲間や教師に対する批判的な声につながります。思いやりや「ありがとう」を感じて生きていくことができるように、少しずつ少しずつ働き掛けていきたいと思います。

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