【今、教員に必要な「コーチング」とは(10)】誰も孤独にしない社会をつくるために

【今、教員に必要な「コーチング」とは(10)】誰も孤独にしない社会をつくるために
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 いよいよ最終回となりました。ここまでお読みいただいたことに、心から感謝いたします。最終回は、私の願いをお話させてください。

 私は「誰も孤独にしない社会をつくる」ために、「誰もが自分を信じ、人を信じ、自分の人生を生きる」ことを応援する活動をしています。心の孤独は不安を生みます。不安を埋めるための行動は、時に人を傷つけることがあります。

 世の中で起きている「いじめ」「自殺」「虐待」「DV」「ヤングケアラー」など多くの社会課題は、心の孤独から来るものだと私は感じています。それは、加害者も被害者も同じです。

 不安の反対は安心です。心の安心を得るためには、人の存在が必要なのです。暗闇の中に独り取り残されたら不安になりますが、誰かいたら安心できませんか?安心できたら、その先に希望が持てると思いませんか?

 これまでに「自分なんて大嫌い。自分なんて信じられない。どうせ自分なんて」という声を年齢を問わずたくさん聞いてきました。一方で、心から信じてくれる存在がいたら、人は変われるということも目にしてきました。その中には、「一人の先生の存在で人生が変わった」と言う方もたくさんいます。

 ここで、私の活動について紹介させてください。コーチングは10代から60代までのクライアントがいますが、30~40代の働くお母さんたちが多く、同業のコーチ、教員のクライアントも増えました。また、コーチのメンターとして、コーチの育成にも携わっています。「アドラー心理学×コーチング」の講座は、大人のコーチコースと子どものコーチコースを開催しています。

 そして今、力を注いでいるのが教育現場での講演、授業です。小中高校生には「自分を知る、自分を大切にする、自分の幸せは何か」など、自分の内側に向き合う時間をつくっています。自分を知ることは人を知ることにもなりますから。また「助けは求めていい」ということも伝えます。

 教員や保護者向けの講演は、「信頼関係や自己肯定感の育み方」などが主なテーマです。いずれも「自分を信じ、人を信じ、自分の人生を生きる」ヒントを伝えています。

 子どもたちから「なぜ、知らない人を信じるって言えるの?」と問われることがあります。そんなときはこう答えます。

 「人を信じるのに、根拠はいらない。私が信じたいから、信じるだけだよ」

 講演後に、泣きながらお礼を言いに来てくれる生徒さん、自分のことを赤裸々に話してくれる生徒さんもたくさんいます。その度に、自身の活動の必要性を考えさせられます。

 最後になりますが、人の成長に携わり希望を与える教員という生き方を選んだ皆さまに、改めて感謝とともに問いを贈ります。

 「あなたは、何のために教員になりましたか?」

(おわり)

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