【イエナプランの中学校(4)】学びを構想する

【イエナプランの中学校(4)】学びを構想する
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 前回は本校(大日向中学校)がイエナプランに基づき、異年齢の生徒でクラスを編成していることを述べました。では、具体的にどのような学習が行われているのでしょうか。

 前回紹介した「大日向に関わる全ての人が目指す6つの姿」の⑤は、「自分自身の関心から生まれる問いに基づき自発的に学ぶ」です。とは言っても、子どもの関心だけで授業を構成するわけにはいきません。一条校として学習指導要領にのっとった教育課程を編成し、最低基準として示された学習内容を網羅しなければならないからです。

 つまり本校は、日本の学習指導要領を前提としてイエナプラン教育を行うということになります。ここに本校を運営する上での難しさ、悩ましさがあります。私学ですから、ある程度は独自の教育内容・方法でよいという考え方もあるでしょうが、本校は「日本の公立学校でもイエナプラン教育が実践できる、一つのモデルを提供する使命を負っている」と考えていますので、あえて学習指導要領を意識して取り組んでいます。現行学習指導要領には「主体的・対話的で深い学び」などイエナプランに通じる考え方が示されていますので、親和性はあると考えています。

本校の1週間のスケジュール

 図は本校の1週間のスケジュールです。これは基本形であって、週によって多くなるもの、少なくなるものが出てきます。というのも、頻繁に校外学習やゲスト講師による授業を実施している関係で、それらが入ることで週によって変わるのです。そのため、年間を通して毎週異なる時間割になります。このことだけを見ても、日本の普通の学校とは異なることが理解いただけるでしょう。

 さて、「サークル対話」は、文字通りサークル(円形)になって座り、全員の顔が見える状態で行う対話です。グループリーダー(学級担任のこと)も一緒に座ります。内容はさまざまで、日曜日の出来事であったり、時事的な話であったり、クラスの諸課題であったりします。教科の担当教員が当該教科の話題を投げ掛けることもあります。保護者のプロジェクト(目的別に「この指とまれ方式」でお手伝いしてくださるチーム)が防災やプルーン栽培のことについてお話をしてくださるときもあります。

 帰りのサークルでは、生徒が教科で学んだことをグループで発表することもあります。こうした取り組みを通して、集団で生活することを強く意識するとともに、仲間と共により良い学校生活を営んでいく自治的な能力を育みます。ですからおまけの時間ではなく、とても意味のある時間なのです。

 次回以降は、図の「ブロックアワー」とは何か、「ワールドオリエンテーション」とはどのような学びかについて、詳しく紹介していきます。

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