【教師の仕事をデザインする(4)】ナマモノであるタスクを捉えるタイムデザイン

【教師の仕事をデザインする(4)】ナマモノであるタスクを捉えるタイムデザイン
【協賛企画】
広 告

 第2回で解説した「枠組みを捉え直す」で考えたいのが、「自分のアクション」についてだ。ボクらは仕事の時間、やることを一つ一つ選んでいる。今何をするかは、自分の選択の中にある。

 付箋やメモ帳にやるべきことをリスト化する、そんなタイプの先生があなたの周りにいないだろうか。今日やることを一つずつ書いて消していく、働き方としては長く用いられてきた方法だ。

 しかし、一つ一つのタスクはそんな単純なものなのだろうか。学校では、急きょ会議が決まったり、グラウンドの整備に呼ばれたりすることもある。一人で完結する仕事もあれば、誰かと一緒じゃなきゃできない仕事もある。ずっと先の仕事もあれば、当日いきなり舞い込んでくる仕事もある。一つが終わると、次が見えてくるタイプの仕事もある。

 そうした中でリストを眺めながら「今日もやることが終わらないな」とため息をつく。ボク以外の皆さんだって、そんな経験があるはずだ。どうやら「自分のやるべきことを管理する」という発想自体が間違っていることに、ボクもあなたも気付き始めている。一つ一つ並べてこなしていくのは、同質なものがきれいに並んでいる工場のような働き方だ。機械のように一つ一つ片付けた先にゴールがあると思い込んではいないだろうか。タスクとは、「やるべきこと」ではなく、「時間概念を含んだナマモノ」だ。ナマモノを相手にしていると考えれば、幾つかのことに気付く。

 やること全てを把握するのは至難の業、Todoリストを作るのではなく、何をいつどのタイミングでやるかのリストを作っていくべきだ。毎日、毎週、毎月の繰り返し仕事(第3回で触れたルーティン)もここに入れていきたい。タイミングとは場所のことだ。家でやるのか、朝の登校前の時間でやるのか、疲れ始めた放課後の時間でもできることなのか。

描いたことの全てが終わらなくても、毎日は進んでいく。ボクらはそれを受け入れなければいけない。今日という1日で終わらなかった仕事があったとしても、明日は続いていき、最終的には年度末に帳尻が合うというわけだ。

 だから一喜一憂するのではなく、毎日をより良く最適化していくことが大事だ。今日終わらなかったことは、次の日や翌週など適切なタイミングに配り直すだけ。1週間のうち、適切なタイミングに振り分けてあげればいい。   

 「管理はできない」「全て終わらなくてもいい」と見てみると、ナマモノには、ナマモノの扱い方がある。やることで管理するのではなくて、1日の時間をより良い時間に変えていく「タイムデザイン」の発想こそ、先生の働き方には必要なのではないか。

広 告
広 告