第6・7回目は、「望むものを生み出す」ことに焦点を当てていこう。今日的なテーマである「子どもと共創する」から始めてみる。
「子どもと共創する」とはどんなことだろうか。ボクは、少しずつ先生がつくってきたものを、子どもたちに手渡していくことだと思う。ある年の授業参観では、その企画・運営を子どもたちが担った。
「最後の授業参観の内容は、1年間続けてきたプロジェクトアドベンチャーがいい!」
「いいよ、自分たちで決めてごらん!」
「じゃあ当日も私たちが授業するよ」
「いいよ、じゃあ全面的に任せた」
「授業参観プロジェクト」を立ち上げた面々は、自分たちが選んだ最後にふさわしいアクティビティー「エブリボディアップ」のルールを決めていった。「今回の学びの焦点は何にする?」と、ボクもここだけは積極的に参加した。
子どもたちが決めた授業参観、結果的にアクティビティーは成功には至らなかった。でも、多くの振り返りを得られた
ボクが2020年からグループリーダーを務めるヒミツキチ森学園では、修学旅行の行き先や内容から、運動会の種目やルール、チーム編成まで子どもたちが決めていく。ボクもその中の一人として、子どもたちが気付かないところに寄り添って、一緒に決めていく。
「ボクも分かんないことが多いんだよね。だから知りたくてさ」
そうやって本気で探究している大人が横にいると、子どもたちも本気で物事を考えていく。責任を感じ、決まったことをみんなでシェアする気持ちにも熱が入る。
「手渡す」のと「任せる」とではちょっと意味合いが違う。「任せる」とこちらは、後は待つだけになってしまう。「手渡す」は、その後も一緒にゴールに向かって伴走する。
「え、これどう思う?」
子どもと大人で、関係性は対等だ。横を走る人として切磋琢磨(せっさたくま)していくうちに、子どもたちがたくさんの意見を「自分ごと」で言ってくれるようになる。「任せる」は、先生の「自分ごと」も手放してしまう。しっくりくるのは「手渡す」、半分を渡して、半分を持ちながら一緒に進む感覚だ。
ある場所でレゴブロックを使った研修を行ったのだが、面白かったのは参加者が表現した「先生と子どもの関係」で、先生が一段上にいたことだ。「ちょっと高い視点から」「一段上から」子どもたちとは違う視点を持って指導したい気持ちはよく分かる。でも、ボクの場合はあくまで横だ。手渡せる距離、関係性にいることが大事だと考えている。
「子どもたちと共創する」というのは、覚悟を持って横を歩くこと、そんな在り方から実現していくのではないだろうか。
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