【イエナプランの中学校(7)】躍動感あふれる行事

【イエナプランの中学校(7)】躍動感あふれる行事
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 前回は本校(大日向中学校)のイエナプランに基づく、「ブロックアワー」の学びについて説明しました。今回は学校行事について説明します。

 本校では第5回で紹介した「ワールドオリエンテーション」などの取り組みで校外学習やゲスト講師を招いての授業が年間を通して頻繁に行われているので、学校行事は少ない方です。ミニ行事がたくさんあるからと言うこともできます。少ないながらも、行事の中身はどれも生徒の自治を生かした躍動的な取り組みになっています。運動会を例に紹介します。

 本校の運動会は5月に大日向小学校と合同で行われますが、かなり特徴的です。まず、運動会の種目は小学校、中学校の各クラスが一つずつ考えます。そして、各クラスが考えた種目は、そのクラスの子どもたちが競技の説明、参加者の招集、チーム分け、開始の合図、判定などの運営を全て行います。その種目に参加するのは、そのクラスの子ども以外なら誰でも可能です。教職員も保護者も参加できるので、中には全競技に参加する保護者もいます。ちなみに今年度の種目は「スポーツ鬼ごっこ」「借り物、人競争」「しっぽ取り」「大脱出おばけ迷路」「パラバルーン」「騎馬戦」などでした。その他に、教職員が運営する種目もあります(全員リレー)。

 中学生は、前述したクラスごとの種目の考案、準備に加えて、運動会全体の準備と運営の役割を担います。どのような目標を立てるのか、小学生にはどのように伝達して種目を考えてもらうのか、校庭2カ所と体育館の計3カ所の同時並行で行われる競技の割り振りをどうするかなどを全て考えて準備します。プログラムの作成、開会式・閉会式の準備と司会・進行、放送設備のセッティングなどもあります。一人一人の生徒が司会、用具、招集、放送、プログラムの各係の役割のいずれかを担い、約1カ月かけて準備から当日の運営までを、全員で協力しながら、そして小学生とも連携しながら実践します。

 なお、紅白対抗などの形式ではないので、勝ち負けにこだわることはありません。あくまで、児童生徒、保護者、教職員、理事が、楽しみながら体を動かし交流することを目的としています。笑顔の絶えない運動会です。

 このような運動会を通して、生徒は企画力、課題遂行力、見通しを持って取り組む力、巻き込む力、人間関係形成力、主体性などの非認知能力を育むことができます。達成感や連帯感、所属感を味わうこともできます。特別活動ならではと言えるでしょう。

 運動会終了後、ある生徒が筆者に言いました。

 「やったよ、やり遂げたよ」

 自信に満ちた表情に、笑顔が輝いていました。

2022年度の運動会後の記念撮影
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