【イエナプランの中学校(10)】日本初のイエナプラン中等教育学校を目指して

【イエナプランの中学校(10)】日本初のイエナプラン中等教育学校を目指して
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 本連載ではこれまで、9回にわたってイエナプラン教育を行う本校(大日向中学校)の特色ある教育活動の様子を紹介してきました。異学年の生徒を混合してクラスを構成していること、「サークル対話」を重視していること、「ワールドオリエンテーション」では探究的な学習や教科の枠にこだわらない学習を進めていること、「ブロックアワー」では生徒が自分で取り組む課題を選んで自分のペースで学習していること、主体的に生徒が参画する学校行事を実践していること、校則や制服がなく自分たちで考えて責任を持って行動するよう促していること、自治の力を高めてシティズンシップ(市民性)を育むことを重視していることなどについて述べてきました。

 これらの基底には、イエナプランの理念(20の原則やコア・クオリティなど)と本学園の建学の精神「誰もが、豊かに、そして幸せに生きることのできる世界をつくる」、そして本校が大切にしている「自立する」「共に生きる」「世界に目を向ける」などがあります。

2022年5月に行われた「開校を祝う会」
2022年5月に行われた「開校を祝う会」

 さて、本校はイエナプラン教育を行う中学校としては日本初で、昨年(2022年)開校しました。まだ約1年半しか経過していませんが、次のステップに向けて動きだしています。それは高校段階もつくって、2025年度に中高一貫の中等教育学校として再スタートする計画です。そのための土地を学園が長野県佐久穂町から購入し、準備を始めています(本紙2023年3月20日付電子版「日本初のイエナプランの中学校 中高一貫教育に挑戦へ」を参照)。これにより小中高12年一貫のイエナプラン教育が実現します。

 まだ構想段階ですので変更の可能性はありますが、中等教育学校の後期課程に当たる高校段階では、今よりもさらにダイナミックな学びを展開することを企図しています。例えば、起業家精神を育てるために商店街の空き店舗を借りて生徒が店舗経営を行うこと、生徒が佐久穂町や近隣自治体の情報を収集・整理してさまざまなメディアを活用して発信すること、社会的実践を体験・体感するために生徒がNPOを立ち上げてより良い社会づくりのための実践活動を行うこと、自治と政治、行政学などを学んで住民にヒアリングをして政策提言を行うこと、イエナプラン教育を学び大日向小学校の教職員補助としてインターンを行うこと、などです。いずれも本連載の第3回で紹介した「大日向に関わる全ての人が目指す6つの姿」の一つである「身近な自然や地域の人々との関わりといった実社会と地続きの学習環境の中で学ぶ」ことを重視した実践です。

 これらはあくまでも筆者が考えている案の一例で決定したわけではありませんが、地域とつながり、イエナプランに即して、ワクワクするような学びを生徒と教職員、保護者、理事、地域の皆さんと一緒につくっていきたいと考えています。ご期待ください。(おわり)

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