子どもの体験に使えるポイント付与 長野市が全国初の実証

子どもの体験に使えるポイント付与 長野市が全国初の実証
プロジェクトの概要を説明する荻原市長(YouTubeで取材)
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 あらゆる子どもに豊かな体験の機会を確保しようと、長野市は10月27日、小中学生に企業や団体などが提供するさまざまな体験プログラムを利用できる電子ポイントを配布する実証事業を始めると発表した。所得制限がなく、体験に特化した仕組みとしては、全国で初めてとなる。

 この「みらいハッ!ケン」プロジェクトは、市内の小中学生を対象に、スポーツや文化芸術活動、自然体験などのプログラムの参加費や入会費、月謝などに利用できる1万円相当分の電子ポイントを付与するもので、11月1日から来年1月31日までが利用期間となっている。10月20日時点で126団体の延べ551プログラムを選択することができる。参画パートナーは12月15日まで募集している。

 10月27日に同プロジェクトについて記者会見した荻原健司市長は「長野市は1998年に冬季オリンピックを開催した町。当時は子どもたちの参加を理念の一つとして大会の観戦や選手との交流、一校一国運動など、本物の体験を通じて多くのことを学べ、それが当時の子どもたちの成長、生き方・考え方にもプラスの影響を生んできたと感じている。こうした子どもたちの成長につながる上質な体験や学びの機会を提供し続けることが、オリンピックレガシーだと考えている」と強調した。

 同プロジェクトは経産省の「未来の教室」 実証事業にも採択されており、記者会見に同席した同省商務・サービスグループ サービス政策課教育産業室の五十棲(いそずみ)浩二室長は「市が押し付けるのではなく、いろいろな選択肢を確保する非常に意欲的な取り組みだ。所得制限なしで、しかも、どちらかといえば全国的には学びや食事といった最低限のものをそろえることを頑張ろうというのが多かったところに、体験という、それぞれのテーマを探して、才能を伸ばしていこう、好きを伸ばしていこうということに重きを置いている」と期待を寄せた。

 プロジェクトの運営には、これまで自治体などと組んで経済的に厳しい家庭に学習塾などの費用に利用できる「スタディ・クーポン」の事業を手掛けてきた(公社)チャンス・フォー・チルドレンが協業する。

 今井悠介代表理事は、今回のプロジェクトでは子ども支援や福祉、市民活動に取り組んできた人をコーディネーターとして位置付けたことを紹介。「体験格差の問題の中には、貧困や障害などのさまざまな事情で、ポイントを配っても使えない子どもたちが出てくる。そういった子どもたちも含めて、体験の場を通じて自分のやりたいことにつながっていけるように、コーディネーターが地域の居場所や支援団体、福祉機関などと連携しながら、その子たちに合ったいろいろな体験の機会をつくり、つなげていくようなことをやっていく」と意気込んだ。

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