加賀市教育委員会が今年1月に策定した「学校教育ビジョン」では「Be the Player」をスローガンに掲げ、一丸となって教育改革を進めています。本連載の第1回でも説明した通り、この改革は「先進的」「独創的」といったイメージとは無縁です。
スローガンは、教育基本法第1条がうたう「社会の形成者」の育成と重なります。また、「学校教育ビジョン」が目指す教育の姿は、現行の学習指導要領や中央教育審議会が2021年1月に取りまとめた「令和の日本型学校教育」の答申などと一致したものです。つまり、子どもが「今」も「未来」も幸せになることを希求し、国が理想として掲げている学校教育を具現化すること。それが本市の目指す教育改革です。
具体的に次の4つのプロジェクトを設定し、有機的に連携させながら進めています。
一つ目は「学びを変える」です。
教師から児童生徒への伝達型一斉指導の濃度を薄め、子どもが学び方や学ぶ場所などを主体的に選んだり、助け合って共に学び合ったりする授業づくりを目指しています。授業の転換をサポートするために3人のプロジェクトマネージャーを配置しました。しっかりと伴走し、助言や激励を通じて教師が前向きに取り組み続けられる体制を整えていることが特徴です。
二つ目は「誰一人取り残さない」です。
文科省が今年3月に取りまとめた「誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策(COCOLOプラン)」は、「不登校により学びにアクセスできない子供たちをゼロにする」とうたっています。本市では、本気でこの実現を目指しています。具体的には、教育総合支援センターを、学校に行きづらくなってしまった子どもが安心できる居場所となるようにデザインしたり、子どものSOSをすぐにキャッチできる仕組みを構築したりしています。
三つ目は「未来は自分で創る」です。
「問いを立て続ける」「教科横断的に探究する」「課題解決する」という三つの軸を持った子どもたちを育成できるよう、小中学校の9年間を通じた系統的なSTEAM教育プログラムの整備を目指しています。外部人材の力を借りながら、プログラミング学習や探究的な学びを支援する体制を着々と整備し続けています。
最後の一つが「地域と一緒に」です。
柱となる施策の一つが、小中学校全校のコミュニティ・スクール化です。学校教育を変えていく上では、地域の皆さんの理解が大切です。学校・保護者間の連絡手段をデジタル化するなど、地域とのシームレスなやり取りができる体制を順次整えています。
次回からは各プロジェクトの内容を詳しく紹介します。
(政策官 寺西隆行)