【子どものケガを減らす(7)】 熱中症

【子どものケガを減らす(7)】 熱中症
【協賛企画】
広 告

 身体の中で生じた熱を体外に放散することができず、体温が異常に上昇し、脱水を合併した状態を熱中症と言います。

 熱中症が発生する要因には、環境要因として気温・湿度、直射日光、風の有無、急激な暑さなどがあり、人の要因として体格、体力などの個人差、健康状態、体調、疲労状態、暑さへの慣れ、衣服の状況などがあり、それらに運動の強度、内容、継続時間、水分補給、休憩の取り方などいろいろな要因が関わっています。

 熱中症は、I度、Ⅱ度、Ⅲ度の3段階に分けられており、Ⅰ度ではめまいや筋肉痛があり、初期には熱が上がらないこともあります。Ⅱ度では嘔吐(おうと)やぼーっとした症状が見られます。これは、大量の発汗による脱水、電解質の喪失により末梢循環不全を起こした状態です。Ⅲ度は体温調節障害を来した状態で、高度の全身臓器の障害を伴い、意識障害、けいれん、発熱、発汗の停止、電解質異常、血圧の低下などが見られます。

 日本スポーツ振興センターの死亡見舞金・障害見舞金の事例(2005~21年度)のうち、熱中症に関連した事故は32件(保育園1件、小学校1件、中学校9件、高校21件)でした。授業中が1件、学校行事が1件、課外活動が27件(84%)で、部活動中がほとんどを占めていました。

 競技別では野球、サッカー・フットサル、ラグビーなど屋外での運動時が多いものの、剣道、柔道、バスケットボールなど屋内の競技でも発生しています。屋外競技では、ランニングなどの体温を上昇させやすい練習がメニューに組み込まれている競技で多くなっています。

 環境省の熱中症予防情報サイトで居住地の暑さ指数(WBGT)の実況と予測を知ることができます。「今日」「明日」「明後日」の値が示されており、特に課外活動の前にチェックする必要があります。日本スポーツ協会から「熱中症予防運動指針」が出ていますので参考にしてください。

 熱中症への対応としては、Ⅰ度では涼しい所で休ませて、スポーツ飲料などの経口投与、あるいは輸液で軽快する場合が多いのですが、Ⅱ度やⅢ度の場合は、身体を急速に冷却しながら、急いで医療機関に搬送する必要があります。

 熱中症については、初期の症状を見逃さないことが最も大切です。意識障害の有無のチェックとして、「名前は?」「ここはどこ?」「今何をしてる?」と質問して、「おかしい」と思ったらすぐに救急車を呼びます。救急車が来るまで、ホースで子どもに水をかけ続けます。日本スポーツ振興センターから熱中症への対応図が出されていますので、それを校内に張っておくとよいでしょう。

広 告
広 告