【子どものケガを減らす(10)】 AEDを使う

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 AEDとは、Automated Extemal Defibrillatorの頭文字を取ったもので、日本語では「自動体外式除細動器」と言います。胸の上に貼った電極のパッドから自動的に心臓の状態を判断し、心室細動を起こしている場合に強い電流を一瞬流して心臓に電気ショックを与え、心臓の状態を正常に戻す機能を持っています。機器の電源を入れると音声で使い方を指示してくれるので、誰でもこの機器を使って救命活動を行うことができます。近年、その重要性が指摘されて町中の至る所に設置され、学校現場にも設置されるようになりました。

学校での死亡例の実態

 NHKが、日本スポーツ振興センターの「学校等事故事例検索データベース」を分析したところ、2005年度から20年度までの16年間に死亡見舞金、もしくは障害見舞金が支払われた8404件のうち、死亡した児童生徒は1556人でした。

 学校別では高校生が45%、中学生が24%、小学生が18%、幼稚園・保育園が6%で、場所別では道路が最も多く37%、教室や保育室が12%、運動場・校庭・園庭が10%となっていました。

 死因としては頭部外傷が30%、心臓系突然死が17%、全身打撲が11%、窒息死が10%、内臓損傷が8%、大血管突然死が8%、中枢神経系突然死が7%、溺死が4%、熱中症が2%、頚髄損傷が2%で、死亡例の490人(31%)は突然死でした。突然死を状況別に見ると、部活動などの「課外指導」中が140人と約3割を占め、次いで体育の授業などの「各教科等」が96人となっていました。

AEDの使用状況

 心停止が疑われる際は、速やかなAEDによる措置が有効で、AEDによる電気ショックが1分遅れるごとに救命率は10%下がるとされています。AEDを置く場所は、心停止のリスクが高い運動場や体育館などの近くで、使う可能性がある現場まで片道1分以内が望ましく、24時間誰でもアクセスできる場所に置く必要があります。突然死の490人のうち356人(73%)は、AEDについての記載がありませんでした。AEDが使われたか否か、使えなかった理由は何か、救命処置がどのように行われたかを記録して検証する必要があります。

AEDの効果

 日本学校保健会が行った調査では、小学校や中学校、高校などで児童生徒に対してAEDによる心肺蘇生を実施した件数は12年度から16年度の5年間で147件に上り、このうち67%(99件)は後遺症もなく社会復帰しているとのことです。学校での心停止の発生は決してまれなことではなく、教師や児童生徒の誰でもAEDを使えるよう使い方を学んでおくことが重要です。(おわり)

 

参照データ:NHK 学校で“突然死”の子ども AED使用の有無 7割が記載なし

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