学校の働き方改革と教員の処遇改善を巡り、2024年は大きな山場を迎える1年となりそうだ。焦点となるのは、公立学校教員には残業代が支払われず、代わりに給料月額の4%を支給することを定めた給特法の改正論議になる。教員の勤務環境を示すデータは教員勤務実態調査で示され(23年4月)、それを受けた議論の方向性は自民党の政策提言「令和の教育人材確保実現プラン」(23年5月)と政府が閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2023(骨太の方針)」に盛り込まれた(23年6月)。
具体的な制度設計は中教審の特別部会が年明けから議論を深め、春ごろに答申をまとめる見通しだ。そこから政府と与党による検討を経て、24年8月に文科省がまとめる25年度予算概算要求に給特法の改正を見込んだ必要経費が計上されることになる。その後、財務省との予算折衝を経て24年12月に政府予算案がまとまり、その予算関連法案として給特法の改正案は25年春までに国会で成立するというスケジュールが想定されている。
このほど閣議決定された24年度予算案では、学校の働き方改革として「小学校高学年の教科担任制の強化」と「教員業務支援員の小・中学校への配置拡大」が文科省の要求通りに盛り込まれた一方、教員の処遇改善を先取りして文科省が要求した「主任手当」や「管理職手当」の増額については財務省との折衝で見送られた。給特法の改正論議を中核とする教員の処遇改善を巡る政策決定がどのような展開をたどるのか、注目される。
小学校教科担任制の加速で1900人の定数改善へ 大臣折衝で固まる