【学級・学校を変える!ポジティブ行動支援(5)】 ポジティブな言葉掛けを実現する「ペップトーク」

【学級・学校を変える!ポジティブ行動支援(5)】 ポジティブな言葉掛けを実現する「ペップトーク」
【協賛企画】
広 告

 ポジティブ行動支援では、応用行動分析学の「ABCフレーム」に基づいて、行動を行うきっかけや状況である先行事象と、行動が繰り返されやすくなるような状況である結果事象を整えていき、ポジティブな行動が生まれやすい環境をつくっていきます。

 そのための支援として一番多い方法は「子どもへの言葉掛け」ではないでしょうか。行動が生まれるように励ましたり、行動が生まれた際に承認したりする際に、どのような言葉掛けをするかは、教師のパーソナリティーに委ねられることが多いのではないかと思います。

 「あの先生は、子どもへの言葉掛けがうまいなぁ」「私は子どもを認めるのは苦手だなぁ」などと、教員の時に私も思っていました。言葉掛けが個人の個性や人間性に依拠してしまっては、出会う大人によって子どもの可能性が左右されることになってしまいます。

 そこで今回は、ポジティブな言葉掛けを生み出す「ペップトーク」を紹介します。「ペップ」は英語で「活気」「元気」、「トーク」は「話す」という意味で、ペップトークは「励まし・元気づけの言葉掛け」を意味します。

ペップトークの4つのステップ
ペップトークの4つのステップ

 ペップトークは次の4つのステップで言葉掛けを行っていきます。

受容…子どもの置かれている状況や心理的な状態を受け入れる

承認…子どもの状況や感情、心理的な状態をできるだけポジティブに変換し、できること(あるもの)に目を向ける(捉え方を変換する)。

行動…子どもがすること、すべきこと(実行可能なこと)をポジティブな表現で伝える(してほしい行動に変換する)。

激励…子どもが自信を持って行動を実行できるように背中を押し、送り出す。

 この4つのステップを踏まえると、子どもが「やってみよう」「できるかも」と前向きに思う言葉を考えやすくなります。

 このステップで例えば問題行動が見られた場合の言葉を考えると、

受容「本当にこんなことをしてしまったんだね。今はどう思ってる?」

承認「でも、これはあなたにとって学びを得るいい経験だった。次に生かしていこうよ」

行動「次は○○するんだよ。そのためのサポートも先生はするよ!」

激励「○○さんなら、きっとできると思うよ!先生は信じているよ」

 というような言葉掛けが考えられるでしょう。

 もちろん、言葉の掛け方・選び方は、日頃の子どもをどれだけ見取れるかということも重要です。この4つのステップで言葉を考えると、言葉の選択やバリエーションも子どもや事象に応じて増やしていくことができるでしょう。

広 告
広 告