教員試験の筆記共通化に前向きな意見相次ぐ 文科省の検討会議

教員試験の筆記共通化に前向きな意見相次ぐ 文科省の検討会議
オンラインで開催された検討会議=撮影:大久保昂
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 都道府県や政令市の教育委員会が個別に実施している教員採用試験の1次試験(筆記)の共同実施に向け、文部科学省は1月31日、具体的な方法などを議論する検討会議の初会合をオンラインで開催した。会議は冒頭を除いて非公開で行われたが、文科省によると、メンバーとなっている都道府県・政令市の担当課長からは「問題作成業務の負担軽減につながる」「全国で受験可能になれば、多くの志願者を集められる」などと期待する声が上がった。6月まで数回開催し、問題作成やコスト分担の在り方を含めた具体的な実施方法案の取りまとめを目指す。

 教員採用試験を巡っては、各教委の問題作成業務などが負担になっているとの指摘が出ている。独立行政法人教職員支援機構が2018年度、全ての都道府県・政令市教委と独自の教員人事権を持つ「大阪府豊能地区教職員人事協議会」の計68団体を対象として、共同実施に関する意向を調べたところ、地方自治体に費用負担が発生しない形であれば、50団体(73.5%)が「ぜひ利用したい」「どちらかといえば利用したい」と答えた。費用負担が生じる場合であっても、38団体(55.9%)がこうした前向きな回答を選んでいる。

 今回の検討会議は文科省に加え、北海道、宮城、茨城、東京、岐阜、大阪、岡山、高知、長崎の9都道府県教委と横浜・神戸両市教委の担当課長で構成。文科省によると、31日の初会合では、共同実施のメリットを指摘する意見が各教委から相次いだ。問題作成業務を現場の管理職が担っている自治体からは「人的負担の軽減につながる」との声が出たほか、全国に会場を設けることで志願者の確保につながるとの指摘やコスト削減効果を期待する意見もあったという。

 一方、懸案としては、試験問題の漏えい対策などのセキュリティーの問題が挙げられた。また、共同実施となった場合でも、志願者が複数の自治体の採用試験を併願できる仕組みにすべきだとの意見も複数の自治体から出た。

 今後は検討会議のメンバーに含まれていない教委の意見も聞きながら、制度設計を進める。文科省教育人材政策課は「できるだけ多くの自治体が参加できる方法を模索したい」としている。

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