第3回 教室が落ち着かない日のアプローチ

第3回 教室が落ち着かない日のアプローチ
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 授業中に私語や配慮のない発言が目立ったり、手遊びや立ち歩きをする子が増えてきてしまったりと、1年間の学級経営の中では教室が落ち着かない日がたくさんあることでしょう。注意をして効果があればよいのですが、そういう時はなかなか教師の声が子どもに届きません。「このままでは学級が荒れ始めてしまうのではないか…」という不安な気持ちや、注意をしても改善が見られない子へのイライラが湧いてきてしまうこともあるでしょう。

 そんな時に有効なのが、雰囲気を味方に付けるアプローチです。なかなか静かにならない教室を見渡すと、その中にはきっと何人か「①いつも騒いでしまう子ども」がいると思います。逆に数人「②いつも話を聞いてくれる子ども」もいるはずです。そして、残りの多くは「③その場の雰囲気によって聞いたり、聞かなかったりする子ども」なのではないでしょうか。この③の付和雷同的な子どもがどちらに傾くかによって、教室の雰囲気は大きく左右されます。

 教師が「①いつも騒いでしまう子ども」に目を向け、注意を繰り返してしまうと、「騒ぐことで先生の注目を引ける」という誤った認識を持たせてしまう可能性があります。そうすると、その場の雰囲気に流されやすい子どもも、だんだんと騒ぐ方へ流れてしまいます。教室全体が騒がしくなっていくうちに、いつでも話を聞いてくれていた子どもも疲弊し、やる気を失っていってしまいます。

 そこで、注意が増え過ぎないように意識し、逆に話を聞いてくれている児童に「こちらを見て聞いてくれているから、話していてほっとします。ありがとう」などと感謝の気持ちを伝えるようにします。すると、正しい行動をすると「先生に見てもらえる」「先生が喜んでくれる」ということに気が付いた何人かの子どもたちが、同じように聞く姿勢を取るのではないかと思います。

 この、何人かがまねをし始めたタイミングを見逃さないようにして「いいなと思った行動をまねしてみるのはすてきだね」「みんながぱっと切り替えると、気持ちがいいし時間もかからないね」と声を掛けます。

 ざわざわと落ち着かない教室にヒートアップして声を荒げても逆効果で、大きな声で注意をしないと切り替えられない教室になってしまいます。一方で、このように雰囲気を味方に付けるアプローチを続け、話を聞いてくれる子どもを増やしていくことで、荒れを防ぎ、少しずつ教室に落ち着きを取り戻していくことができます。

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