第4回 最初の1カ月で示したい「行動規範」とは

第4回 最初の1カ月で示したい「行動規範」とは
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 4月の最初の1カ月で、「1年後の学級集団の理想状態(ゴール)」を更新していきます。そして、更新したゴールを教師と子どもたちで共有します。

 学級集団のゴールを共有していく上で、大切なことがあります。それは、ゴールだけでなく、「行動規範」をも共有することです。

 行動規範とは、学級集団が目指すゴールを実現するために、学級で大切にしたい価値観や行動を示したものです。つまり、学級において具体的にどのような行動をしたらよいのか、考え方も含めて具体的に示すわけです。

 例えば、「友達の良さに目を向け、良さを認めたり褒めたりすることが大切です」「失敗したとしても、『次はできるよ』と励ますことが大切です」といった行動規範を示します。

 実は、この行動規範があるかどうかで、子どもたちの学級での行動は全く変わってきます。例えば、ある学級では誰かが少しでも失敗するとばかにする、ちゃかすといった行動が見られました。また、友達の失敗や短所に着目し、ばかにしたり笑ったりする行動が見られました。これは、実は学級の雰囲気がそうさせているのです。なぜならその学級では、どの子もそういう行動を取っていたからです。「相手をばかにしたり、ちゃかしたりして笑いを取る」という雰囲気に従って、子どもたちはそのような行動を取っていたのです。

 反対に、学級の雰囲気を前向きなものに変えるとどうでしょうか。つまり、友達の短所には目をつぶり、長所や頑張りに注目する雰囲気をつくるのです。失敗したとしても、挑戦したことを褒める、認める、励ますという雰囲気をつくるのです。

 このような「前向きな雰囲気」ができると、子どもたちは自然とその雰囲気に従って行動するようになります。「この学級ではこういった行動をするのが普通なんだ」と思えるからです。つまり、教師が示した行動規範が子どもに共有されることで、学級に良い雰囲気がつくられていくのです。その結果、行動規範が学級の子どもたちの考え方や行動のベースとなっていきます。

 およそどんな集団であっても、ゴールと行動規範をセットで示すことが重要です。そうすることで、ゴールに向かってどう行動してよいのかが集団に共有され、望ましい雰囲気がつくられていきます。ポイントは、ゴールと行動規範を集団で共有しているという実感を子どもに持たせることです。共有している実感があるからこそ、ちゅうちょなく、行動規範に従って行動できるようになるのです。特に学級開きでは、「褒める・認める・励ます」言葉掛けを、子ども同士でもできるよう行動規範を示せばよいのです。

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