学級開きで「クラスメートを知る」活動を行い、関係性を生み出していきます。これができたら、徐々に「認め合い」のリレーションシップをつくっていくようにします。
「認め合い」とは、例えばクラスメートの良さに注目することや多様性を認めることを意味します。一人一人の才能や感性、性質、長所、性格は違います。各自の個性を尊重する関係性をつくるのです。
そこで、ゲームをした後や協働して学習した後に、友達の良さを認め合う時間を取ります。最初は、教師がどんなところを認めたらいいのかを説明します。
「アイデアを出してくれた人、話を真剣に聴いてくれた人、メモをしてくれた人、発表や司会をしてくれた人、笑顔で応援してくれた人、ムードを盛り上げてくれた人…。それぞれ大切な役割を果たしてくれました。他にもよかったところがあるかもしれません。良かったところを褒めてあげてください」
このように、各自の個性や頑張りを認め合う時間を取るのです。この「認め合い」を繰り返すことで、「相手の良さに注目しよう」という雰囲気が生まれます。
また、互いの多様性を尊重する言葉掛けをすることで、互いに敬意が生まれます。つまり、自分を尊重してくれた相手を、自分もまた尊重しようと思えるのです。そして、他者の視点や価値観を尊重できるようになってきます。こうして徐々に、多様性があるのが当たり前であり、多様性があってよいのだという雰囲気が集団に生まれてきます。
ゲームだけでなく、授業でも認め合いはできます。少人数のチームで協働して学ばせた後、一人で学ぶよりもチームで学ぶとどういう良い点があったかを振り返らせます。すると、「自分が思い付かない考え方が出てきて学びが深まった」「いろいろなアイデアが出て、質の高い学習ができた」などの感想が出ます。そうした感想を学級集団で共有するのです。
このように、互いの良さや多様性を「認め合う」活動を繰り返していると、「意見や考え方が違うのは当たり前」という雰囲気になってきます。みんなが同じ意見や考え方をする方が不自然だと思えてくるのです。
ここまでくれば、例えば討論などをしても、自然と相手の意見に反論できるようになってきます。反論ができるようになると、学びはとても深いものになります。