第6回 学校内での支援

第6回 学校内での支援
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 文部科学省「令和4年度児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」によると、不登校児童生徒のうち、学校内外の専門機関等で相談・指導等を受けていない小・中学生の割合は38.2%と報告されている。つまり、不登校の3人に1人以上は、学校内でも学校外でも専門的な支援を受けていないことになる。

 こうした状況を受け、不登校の児童生徒全ての学びの場を確保し、学びたいと思ったときに学べる環境を整える方策の一つとして、学校内への校内教育支援センター(スぺシャルサポートルーム)の設置が促進されている。従来は「別室登校」と呼ばれ、保健室や相談室、図書室、校長室などで、不登校の子どもが過ごせる環境をつくり、養護教諭やスクールカウンセラー、空き時間の教職員などが話し相手になったり、個別に勉強を教えたりといった取り組みが行われてきた。今回提起された校内教育支援センターは、自分のクラスに入りづらい児童生徒が落ち着いた空間の中で、自分に合ったペースで学習・生活できる環境を学校内につくり、個々に応じた学びの機会を保障しようとするものである。こうした居場所を学校内につくろうという自治体は増えつつある。

 しかし、空間をつくっただけでは十分とは言えない。次なる課題は、子どもの支援に当たる「人=支援員や指導者」の確保である。別室から自分の教室へとつなぎ、オンラインで授業を受けることを目指すとすれば、ネット環境や教職員の理解、そして対応に当たる教職員が必要である。また、校内教育支援センターで行われる学習プログラムの整備など、まだまだ課題は山積している。

 文科省のCOCOLOプラン(2023年3月)によると、子どもたちの小さなSOSを見逃さないために、1人1台端末を活用して心身の変化を早期発見するためのツール開発も進められている。これまでは、担任教師などが行ってきた毎日の健康観察にICTを活用しようとするものであり、そうしたアプリの開発が一気に進みつつある。

 とはいえ、このアプリを有効に活用するには、ただ使うだけでは十分ではない。「マイナスの回答をしたら、内申に響くかもしれないし、先生にあれこれ聞かれるのがうっとうしい。だから適当に答えておこう」などと考える子どももいるかもしれないからである。

 子どもたちが「先生に分かってほしい」「聴いてほしい」と素直にSOS発信ができるよう、普段から児童生徒と教師との関係性を築いておくことが、このツールの活用を成功させる鍵となるだろう。

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