高校入試の業務をDXで負担減 デジタル庁報告書、実証も視野

高校入試の業務をDXで負担減 デジタル庁報告書、実証も視野
iStock.com/Tran Van Quyet
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 高校入試における受験生の調査書などの必要書類が紙媒体で作成・提出されているのは、教職員や受験生、保護者の負担につながっているとして、デジタル庁はこのほど、高校入試のこれらの事務作業のデジタル化の可能性を検証した調査研究報告書を公表した。報告書では、中学校から高校への出願書類の提出で、1中学校当たり7~20時間の工数が生じていると指摘。全国で必要な書類のフォーマットを標準化することで、効率的な対応ができるようになると提言した。デジタル庁では2025年度以降、実証を行うことも視野に入れる。

 多くの高校入試では現在でも受験生の調査書や成績書などの書類を紙に印刷し、郵送するなどの方法が取られている。中学3年生が高校を志願して入試が行われ、入学が決まるまでの期間に、どのような業務が行われているかや、その業務はデジタル化が可能かを検証した。

 教育委員会などにヒアリングした結果、大半の中学校で高校への出願書類の提出が直接持参か郵送で行われており、1中学校当たり約7~20時間の工数が生じていることや、高校側でも出願書類のパソコンへの入力作業が発生しており、確認作業や中学校コードとの照合などの負担につながっていること、考査料の納付も紙の願書に証明書を添付することになっているケースが多く、銀行などでの待ち時間が発生していることが分かった。

 こうした課題を踏まえ、報告書では、高校入試の事務作業をデジタル化する場合は、印刷などではなく、データのままでやりとりをすることが非常に重要だと指摘。全国で必要な書類やその書類のフォーマットの標準化を行うことで、自治体をまたいで出願するケースの提出書類の相違がなくなり、より効率的に対応できるようになると提言した。

 デジタル庁ではこの報告書を基に、25年度以降に、都道府県などと連携して実際に高校入試に関する事務のデジタル化に向けた実証に乗り出す考えだ。

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